2023 Fiscal Year Annual Research Report
琉球列島に固有なオクトポリスにおけるタコの社会性に関する検証
Project/Area Number |
22K19348
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
池田 譲 琉球大学, 理学部, 教授 (30342744)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | タコ / 社会 / 脳 / 琉球列島 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、琉球列島沿岸に形成されているタコ類の高密度分布域「オクトポリス」について、その実態とそこに暮らすタコ類の動態を社会性の観点から探ることを目的としている。昨年度に引き続き今年度は、1)オクトポリスにおけるソデフリダコの個体間相互交渉の野外検証、および2)社会行動の薬理学的検証を試みた。 項目1)では、沖縄本島南部および中部沿岸の特定エリアを対象に、長期間にわたる野外調査をした。その結果、沖縄島南部の岩礁帯と沖縄島中部の砂地に8種のタコ類計628個体を観察し、それらが同所的に分布しており、このうち小型のタコ類であるソデフリダコの個体数が多いこと、最高で1000平方メートル当たり平均10個体が分布していることなどを見出した。また、ソデフリダコの行動を目視および新たに設置型カメラで観察したところ、交接行動、同種同士の接触、他種への接触など特徴的なものが見られた。さらに、ソデフリダコの巣の位置が時間と共に変わっていく様子も確認された。これらタコの生息場所の環境要因を精査したところ、塩分が汽水域と同定程度に低いところがあり、低塩分とソデフリダコの分布との関連性が示唆された。これらの調査を通じて、沖縄島沿岸には広大なオクトポリスが存在するという琉球列島の特異性に関わるユニークな事実を明らかにした。 一方、項目2)については、薬物注入のためにソデフリダコを対象に麻酔下での開頭手術を試みたが、縫合後の生残率が低く、薬物効果の正確な検証には至らず将来の課題として残された。
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