2022 Fiscal Year Research-status Report
Establishing the methods to re-develop B-chromosome biology
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22K19349
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
野澤 昌文 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (50623534)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | B染色体 / ショウジョウバエ / Y染色体 / 遺伝子発現 / 性染色体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はB染色体を持つDrosophila asahinai(アサヒナショウジョウバエ、以降アサヒナ)のB染色体配列の決定を目指して研究を進めた。まず、ロングリードシーケンサーであるOxford NanoPore MinIONとショートリードシーケンサーであるIllumina HiSeq Xを併用して、B染色体を持つ系統とB染色体を持たない系統のメスゲノム配列を決定した。この2つのゲノム配列を比較し、B染色体を持つ系統にしか存在しない配列約950 kbをB染色体配列として同定した。 次に、B染色体上に存在する遺伝子の有無を明らかにするため、B染色体を持つ系統と持たない系統の幼虫、蛹、成虫の雌雄、および精巣、卵巣のRNA-seqを行った。その結果、候補B染色体上に25個の発現遺伝子を同定した。この中には、オス特異的な発現を示す遺伝子も見つかった。 さらに、アサヒナのB染色体の起源についての糸口を探るべく研究を進めた。D. melanogaster(キイロショウジョウバエ)では、Y染色体がB染色体を起源とする可能性が提唱されている。そこで、B染色体とY染色体の進化的関連を検証することを目的にB染色体を持たないオスとメスのゲノム配列を決定・比較し、オスにしか存在しない約675 kbの配列を候補Y染色体配列として同定した。現在、相同性検索やシミュレーションを用いて、候補Y染色体配列と候補B染色体配列の進化的関連性を調べている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パルスフィールド電気泳動を用いたB染色体の切り出しやマイクロダイセクションによるB染色体の掻き取りには成功していないものの、B染色体を持つ系統と持たない系統を利用することにより、B染色体候補配列を一定程度決定することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度あまり検討できなかったパルスフィールド電気泳動およびマイクロダイセクションによるB染色体単離の方法確立に注力する。また、B染色体とY染色体の進化的関連についても引き続き解析を行う。さらに、B染色体上に見つかった発現遺伝子のうち、オス特異的発現を示した遺伝子に着目し、B染色体の有無による性比の違いなど、表現型の解析も行う予定である。
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