2022 Fiscal Year Research-status Report
脳組織内1細胞での転写・翻訳産物の局在の同時イメージング
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22K19355
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
三國 貴康 新潟大学, 脳研究所, 教授 (90786477)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / 分子イメージング / 1細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経活動依存的なシナプスの変化は、神経回路の機能的な発達や学習・記憶に不可欠である。神経活動に伴ってシナプスの構造や機能が変化する際には、シナプス部位のプロテオームがダイナミックに変化する。細胞体由来のタンパク質が遠く離れたシナプスまで輸送されるには時間がかかるので、シナプス部位へのタンパク質の機動的な供給機構として樹状突起での局所合成がある。これまでに樹状突起での局所合成がシナプスの可塑性に重要な役割を果たしていることはわかっているが、局所合成の実体には不明な点が多い。その理由は、脳組織中の神経細胞において、樹状突起中の転写産物(mRNA)とその翻訳産物(タンパク質)の両方の局在や動態をシナプスレベルの解像度で同時に観察できていないからである。そこで本研究では、脳組織内で内在性に発現するmRNAおよびタンパク質の細胞内局在を同時イメージングする方法を開発し、神経活動依存的にシナプスが変化する際のmRNAおよびタンパク質の時空間的動態を単一シナプスレベルの解像度で理解することを目指す。2022年度は、個体マウスの脳内の一部の細胞において、生体脳内ゲノム編集技術SLENDR/vSLENDR(Mikuni et al., Cell 2016; Nishiyama et al., Neuron 2017)によりCaMKIIの遺伝子座にGFPタグ配列を挿入した。そのうえで、ゲノム編集したマウスを灌流固定し、脳薄切切片を作製し、CaMKIIのmRNAをRNAscope法(高感度RNA in situ hybridization)で標識し、mRNAの細胞体および樹状突起での局在を検出する予備的データを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度に予定していた技術開発は、おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に開発したマウス脳内1細胞での内在性mRNAイメージング技術をさらにブラッシュアップする。そのうえで、免疫染色によるタンパク質の同時イメージングや、脳スライスでのライブイメージングに応用することを目指す。
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Causes of Carryover |
消耗品費用が予定より少なかったため次年度使用額が生じたが、実験系が軌道に乗ってきたために今年度の消耗品等の使用額は予定より増えて全額使い切る見込みである。
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Research Products
(8 results)