2022 Fiscal Year Research-status Report
レジリエンスを獲得させる新たなストレス関連障害治療戦略
Project/Area Number |
22K19378
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
笠井 淳司 大阪大学, 大学院薬学研究科, 准教授 (40454649)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | ストレス / レジリエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
ストレスは、ヒトの心身に悪影響を及ぼし、様々な精神疾患の原因になると考えられている。近年世界中で精神疾患患者数が増加しており、特に、気分障害やストレス関連障害の患者数の増加率は高い。最近ではCOVID-19感染の回復後に、約3割の患者が心的外傷後ストレス障害を発症するとの報告もある。また患者の約3割が治療抵抗性を示すことや寛解期からの再発リスクが高いことなど、既存のストレス関連障害の治療満足度は低い。既存の精神療法と薬物療法の治療法では、症状が改善した寛解期に患者自身でストレス要因に対処する力をつける必要がある。従って、患者自身の個々の力や環境に依存せず、ストレスレジリエンス(回復力)を高めれば、治療抵抗性や再発リスクを軽減できることに繋がり、有益な新規治療戦略になると考えられる。しかしながら、このストレスレジリエンスの生物学的なメカニズムは未だほとんど明らかにされていない。そこで本課題では、ストレスレジリエンスを高める神経細胞の遺伝的特性を同定し、その特性に基づき薬理学的に介入し、レリエンスを高める新規のストレス関連障害治療戦略を動物実験で実証することを目指している。本年度は、社会的敗北ストレス応答性神経細胞のシングル細胞発現解析、薬理学的介入による神経活動への影響評価を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り進捗し、シングル細胞トランスクリプトーム解析を終了し、薬理学的介入試験を開始できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
行動薬理学的な介入の例数を重ね、レジリエンス獲得に向けた評価を試みる。
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Causes of Carryover |
当初計画に加え、自由行動下のカルシウムイメージングを行う必要性が生じ、行動薬理学的検証の実施を遅らせたため。
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[Journal Article] Claustrum mediates bidirectional and reversible control of stress-induced anxiety responses2022
Author(s)
Niu M,Kasai A, Tanuma M, Seiriki K, Igarashi H, Kuwaki T, Nagayasu K, Miyaji K, Ueno H, Tanabe W, Seo K, Yokoyama R, Ohkubo J, Ago Y, Hayashida M, Inoue KI, Takada M, Yamaguchi S, Nakazawa T, Kaneko S, Okuno H, Yamanaka A, Hashimoto H
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Journal Title
Science Advances
Volume: 8
Pages: eabi6375
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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