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2023 Fiscal Year Research-status Report

がん細胞の細胞膜張力を標的とした化合物の探索と治療法への応用

Research Project

Project/Area Number 22K19379
Research InstitutionKobe University

Principal Investigator

辻田 和也  神戸大学, バイオシグナル総合研究センター, 准教授 (10457054)

Project Period (FY) 2022-06-30 – 2025-03-31
Keywords細胞膜張力 / がん浸潤・転移
Outline of Annual Research Achievements

がん治療の大きな障害は、悪性がんの浸潤・転移である。しかしながら、それらに対する効果的な治療薬は殆ど無く、そのブレークスルーには全く新しい考えに基づいた、薬の開発が求められている。近年、我々は、細胞表面の力学を司る細胞膜張力の減少が、悪性がん細胞に「共通した物理特性」であることを見出した。さらに、この細胞膜張力を人為的に操作するツールを開発し、がん細胞の膜張力を正常細胞と同程度まで「回復」させるだけで、腫瘍形成および浸潤・転移が顕著に抑制されることを明らかにした。これらの知見から、細胞膜張力を上げる作用を持つ化合物が有望ながん治療薬の候補となる可能性を考えた。本研究では、我々が独自に開発した細胞膜張力の変動を可視化するシステムを用いて、細胞膜張力を上げる作用を持つ化合物をハイスループットスクリーニングにより同定する。そして、同定した化合物が腫瘍形成・転移能を抑制するかを検証する。
化合物ライブラリーのスクリーニングにより、細胞膜張力を上げる作用を有する可能性が考えられる約30種の候補化合物を同定することに成功した。これらの化合物の投与により、柔らかく変形性が高い転移性乳がん細胞であるMDA-MB-231細胞の細胞形態が丸くなり、細胞膜直下のF-actinのシグナルの増強が観察され、細胞膜とアクチン皮層との接着が増強していることが考えられた。またこのスクリーニングから、逆に細胞膜張力を下げる作用も有する可能性が考えられる化合物も同定できた。細胞膜張力は、細胞運動、エンドサイトーシス、細胞分裂などの細胞変形が関与する動的な細胞機能だけでなく、幹細胞性などの細胞運命決定にも重要であることが報告されており、これらの化合物は上記の研究に有益である可能性が考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

同定した化合物が当初の予想よりも多かったため、光ピンセット実験など、高度な実験による検証に時間がかかり、マウスの実験での検証に遅れが生じたため。

Strategy for Future Research Activity

候補化合物のがん抑制効果をマウスを用いて検証する。具体的には、がん細胞をマウスに移植し、候補化合物の投与により、腫瘍形成、浸潤・転移に対する効果を解析する。

Causes of Carryover

候補化合物が当初の予想より多く同定できたため、その選定に時間がかかり、マウスの実験を次年度に行う必要が生じた。そのため、マウス実験にかかる研究費を翌年度分として請求した。

  • Research Products

    (1 results)

All 2023

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] Exploring membrane mechanics: The role of membrane-cortex attachment in cell dynamics2023

    • Author(s)
      Itoh Toshiki、Tsujita Kazuya
    • Journal Title

      Current Opinion in Cell Biology

      Volume: 81 Pages: 102173~102173

    • DOI

      10.1016/j.ceb.2023.102173

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2024-12-25  

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