2022 Fiscal Year Research-status Report
持続的な培地回収システムを用いた高機能エクソソームの探索と薬物送達への応用
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22K19384
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
小出 裕之 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (60729177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥 直人 帝京大学, 薬学部, 教授 (10167322)
疋田 智也 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍制御学分野, 主任研究員 (20600935)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | エクソソーム / ナノ粒子 / 取り込み / 薬物送達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではエクソソームを分泌する親細胞として、発光酵素(N-luciferase (N-luc))が遺伝子導入されたヒト前立腺がん(PC-3)細胞株を用いた。PC-3細胞を播種してから48時間連続培養後に回収した培地(コントロール)、培地循環装置を用いて細胞播種から2日間連続で回収した培地を精製し、エクソソームを得た。回収したエクソソームについて、動的光散乱法により粒子径を測定した。その結果、両システムにより精製したエクソソームの粒子径は300 nm以下であり、粒子径に差は見られなかった。ウェスタンブロット法によりエクソソームのマーカータンパク質であるCD63の発現を検討した結果、コントロールだけでなく、新システムにより回収したエクソソームにおいてもCD63タンパク質の発現が確認された。これらの結果より、回収した粒子がエクソソームであることが示唆された。また、回収したエクソソームのN-luc由来の発光量をレポーターアッセイにより測定した。その結果、発光量とCD63の発現量に相関があり、エクソソームがN-lucにより発光標識できていることが確認された。次に、エクソソームの細胞内への取り込み実験のために親細胞播種時の細胞数、受容細胞の播種数、エクソソームの添加量、受容細胞の種類を検討した。そして、決定した条件を元に両エクソソームをPC-3細胞へ添加し、その24時間後に細胞の発光強度を測定することで取り込み率を算出した。その結果、通常培養により回収したエクソソームと比較して、Day1、Day2いずれも細胞内への取り込み率が有意に増加していた。以上より、細胞培養中にエクソソームを持続的に回収することで、これまでとは異なる性質のエクソソームが回収可能であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、培地の持続回収によりえられたエクソソームを用いることで、通常培養によりえられたエクソソームと比較して、細胞への取り込み量が向上するなどの結果などが得られており、徐々にこれまでのエクソソームとの違いが明らかになってきている。そのため、概ね順調に進展していると考えれられる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度は、持続回収した培地より精製エクソソームが通常培養から精製したエクソソームと比較して細胞への取り込み量が向上することを明らかにした。本年度は、昨年度取得したデータの再現性を取るとともに、エクソソームの機能の違いを検討する。具体的には、回収したエクソソームを細胞に添加することで、細胞増殖に与える影響を明らかにする。また、昨年度はエクソソームの取り込み量が向上したことから、エクソソームの表面に発現している膜タンパク質の発現量が異なる可能性がある。そこで、エクソソームのマーカーであるCD63などの発現量をウェスタンブロットにより検討する。その後、回収したエクソソームに抗がん剤を内封することで、エクソソームを用いた薬物送達に応用していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスや半導体不足などで試薬の納入や消耗品の納品に想定よりも時間がかかってしまったため。未消化の金額が生じてしまった。
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