2023 Fiscal Year Research-status Report
神経変性疾患の早期診断を指向した構造異常型タンパク質の極微量検出
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22K19389
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
古川 良明 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (40415287)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | スーパーオキシドディスムターゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
変異型の銅・亜鉛スーパーオキシドディスムターゼ(SOD1)は、遺伝性の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の発症原因として考えられており、運動ニューロン内に変異型SOD1が凝集して封入体を形成していることが知られている。アミノ酸置換による変異型SOD1の凝集メカニズムとして、ホモ二量体として存在するSOD1の単量体化が引き金となって凝集し、運動ニューロンに毒性を発揮しているのではないかという提案がある。しかし、SOD1ホモ二量体の解離定数は非常に小さく、単量体化するのはごく一部であることから、その検出が極めて困難であった。そこで、京都府立大学の田中俊一准教授と協力し、単量体SOD1に特異的に結合する人工タンパク質(モノボディー)を開発した。本課題で開発したモノボディーMb(S4)は、正常なSOD1ホモ二量体とは結合せず、単量体化したSOD1のみと結合する高い選択性を持っている点が大きな特徴である。一方で、開発したモノボディーと単量体型SOD1との親和性は低く、プルダウン法などの手法によって単量体型SOD1の検出を行うことはできなかったものの、クロスリンク試薬を活用することで、モノボディー・単量体型SOD1の複合体を検出することができた。実際、変異型SOD1を発現させた培養細胞や出芽酵母・大腸菌から、単量体SOD1を検出することにも成功した。以上より、親和性に課題が残っているものの、単量体型SOD1のみを特異的に認識することができる分子の開発に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題では、神経変性疾患の早期診断を指向した構造異常型タンパク質の極微量検出を目的としている。本年度までに、単量体化したSOD1という構造異常型タンパク質を特異的に認識する分子(モノボディー)を開発に成功した。しかし、単量体型SOD1とモノボディーとの親和性が低く、モノボディーによる単量体型SOD1の検出にはクロスリンクといった手法を用いる必要があった。また、生体試料に含まれる単量体型SOD1の極微量検出には至っておらず、今後の課題となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までにモノボディーに着目することで単量体型SOD1を特異的に認識する分子の開発を進めてきたが、認識特異性には優れていたものの、親和性の低さが問題であった。そこで、ランダム変異などを利用して、単量体型SOD1の極微量検出を目指して親和性の向上を図る。また、モノボディー以外にも他のタンパク質骨格に着目し、異常な構造を有したSOD1を特異的かつ強力に認識できる分子の開発を進める。
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Causes of Carryover |
2022年度に引き続き、2023年度についても、想定よりもスムーズに実験・研究が進んだため、以前より研究室にストックしていた消耗品の使用によって成果を得ることができた。しか し、2024年度に行う実験については、消耗品ストックもすくなくなっていることや、研究成果の発表旅費などもかかると考えている。
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