2023 Fiscal Year Research-status Report
新しい生体超分子S8環八超硫黄の発見と生理機能解明
Project/Area Number |
22K19397
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
赤池 孝章 東北大学, 医学系研究科, 教授 (20231798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉沢 道人 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (70372399)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 超硫黄分子 / S8硫黄 / 超硫黄分子カプセル |
Outline of Annual Research Achievements |
驚くべきことに、火山地帯など極限環境に見られる環状八硫黄S8が、ヒト・動物の生体内で積極的に合成され極めて豊富に検出された。これは、無機硫黄分子であるS8が、生命進化論と生命現象に深く関わることを示す生物学・生命科学における極めて大きな発見である。本研究では、超硫黄分子カプセルを用いて新たに開発した超硫黄解析により、生体内S8の代謝経路その生理機能の全容を解明する。当該年度では、超硫黄分子カプセルを用いることにより、各種培養細胞系および動物組織(マウス・ヒト)におけるS8の細胞・生体内検出に成功した。加えて、細胞内に高濃度に生成・蓄積するS8は、ミトコンドリアのエネルギー代謝および脂質過酸化制御に関与していることを明らかにした。すなわち、マウス線維芽細胞MEFを超硫黄ドナーであるグルタチオントリスルフィドGSSSGで処理すると細胞内のS8レベルが顕著に上昇し、さらに、これは超硫黄の酸化代謝酵素であるSQR (sulfide:quione reductase)により代謝維持されていることを見出した。さらに、驚くべきことに、活性酸素産生酵素である NADPH oxidase (NOX)やNO合成酵素(NOS)が、実際は、NADPHの電子・プロトンを優先的に超硫黄GSSSGに渡して超硫黄の伸長反応(catenation, カテネーション)を触媒してS8産生酵素(S8 synthase)として機能していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超硫黄分子カプセルを用いて新たに開発した超硫黄解析を行ったところ、広く自然界に存在する環化八硫黄S8が哺乳類・ヒトの生体内において、当初の想定を超える高濃度で蓄積していること、さらに、ミトコンドリアエネルギー代謝や脂質過酸化制御に関与することを明らかにした。本研究の当初目的である、生体内S8の代謝経路その生理機能の全容解明に関する知見をさらに深めることができ、研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Causes of Carryover |
実験実施計画に沿って研究を行った結果、当初想定していなかった環化八硫黄S8の新規生成系の発見についての研究成果が得られた。本研究の目的である生体内のS8環八超硫黄の代謝経路その生理機能の全容解明に向けて、次年度におけるさらに詳細な分子メカニズムの解析のために使用する。
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Research Products
(39 results)