2023 Fiscal Year Annual Research Report
個体老化・加齢関連疾患の理解を目指した変性タンパク質アトラスマップの構築
Project/Area Number |
22K19398
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
城村 由和 金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (40616322)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 老化 / プロテオスタシス / 神経細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、応募者らが見出したLONRFファミリーの多様な変性タンパク質を認識する個性的なタンパク質特性を利用することで、個体老化・加齢関連疾患において蓄積する変性した異常タンパク質群を網羅的に同定・定量し、各臓器の変性タンパク質アトラスマップを構築することを目的とした。 まず、昆虫細胞SF9より精製した_FLAG-LONRF2タンパク質と多様な人工変性タンパク質を発現する培養細胞から調製したタンパク質抽出液を用いて、プルダウンアッセイの最適化をおこなった。その結果、LON基質認識ドメインが変性タンパク質特異的に結合する最適条件を見出すのに成功した。 次に、LONRF2の発現が神経細胞で高いことから、神経変性に関わるタンパク質の分解に関わるのではないかと考え、様々な神経変性関連因子を発現させた培養細胞から調製したタンパク質抽出液を用いてプルダウンアッセイを行った。その結果、ALSやFTLD2のような多くの神経変性疾患と関連していることが知られているTDP-43やhnRNP M1といったRNA結合タンパク質が酸化ストレスなどによって誘導した変性条件においてのみ結合することを見出した。さらに、細胞内での相互作用を免疫沈降法で検討したところ、変性条件でのみ、LONRF2はTDP-43やhnRNP M1と共沈することが確認できた。この結果は、構築したプルダウンアッセイの系が内在性の変性タンパク質群を同定できることを強く示唆している。 そこで、LONRF2を高発現している複数の培養細胞から調製したタンパク質抽出液を用いてプルダウンアッセイを行い、変性した異常タンパク質群の同定を試みたところ、遺伝子変異によって変性することが知られているいくつかのがん関連因子が見出された。
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