2023 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of a mechanical wound healing base through competitive dynamics
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22K19400
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松村 寛行 東京大学, 医科学研究所, 特任講師 (70581700)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 創傷治癒 / 細胞競合 / メカニカルストレッチ |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の組織を維持する上で絶対不可欠な創傷治癒は、角化細胞の再上皮化の過程が重要な役割を果たしている。メカニカルストレッチ(機械的刺激、MS)が、その再上皮化を促すことで、臨床的にも創傷治癒治療に非常に大きな貢献してきたにも関わらず、鍵となるその仕組みは、ほとんど未解明である。細胞競合は、同種細胞の適応度の差異に応じて組織から適応度の低い細胞を排除する仕組みである。我々は、皮膚において、表皮の幹細胞集団の細胞競合現象に着目し、老化や創傷治癒過程において解析し、細胞競合が組織恒常性を維持することで老化による組織の疲弊を軽減させていることや創傷治癒への関与の可能性を世界に先駆けて明らかにしてきた(Liu, Matsumura et al., Nature 2019)。しかしながら、創傷治癒におけるその役割・機能は、ほとんど明らかにできていない。本研究では、細胞競合がどのようにして創傷治癒に関わり、その重要な役割を担っているのか、メカニカルストレッチに着眼して、その鍵となる分子メカニズムの解明を目指す。これにより、競合ダイナミズムを通じた創傷治癒の全く新しい治療基盤へ繋げることを目的とした。昨年度までに、メカニカルストレッチと創傷治癒と細胞競合を関係の検証とその実態の解明を目的として、収縮力に影響を受けにくく、メカニカルストレッチの影響を評価しやすい創傷治癒実験モデルの構築に成功した。 本年度では、このモデルを用いて、メカニカルストレッチに関わりケラチノサイトの幹細胞性を維持できるような薬剤を塗布して、創傷治癒効果を比較する実験の検証をしてきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで、収縮力の影響を受けにくく、メカニカルストレッチの影響を評価しやすい創傷治癒実験モデルは提案されていなかった。そこで、収縮力の影響を受けにくく、メカニカルストレッチの影響を評価しやすい創傷治癒実験モデルの構築を行った。そこで、野生型マウスの尾部を用いて、表皮全層欠損の創傷治癒モデルの構築を試みた結果、背中の皮膚と比較して、収縮による影響が少なく、適度にメカニカルストレッチに対応できうる動物モデルの構築に成功した。また、このモデルにメカニカルストレッチに関わる薬剤の効果を調べることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
創傷にによる収縮力の影響を受けにくく、メカニカルストレッチの影響を評価しやすい創傷治癒実験モデルを用いて、メカニカルストレッチに関わる遺伝子が細胞競合に関わるのか検証する。その遺伝子発現を制御できる薬剤を塗布して、その効果を検証する。また、我々は、すでにメカニカルストレッチに関わり、表皮の維持に関わる遺伝子Xに着目しており、このコンデショナルに遺伝子X欠損を誘導するマウスを入手し、その機能に迫る計画である。
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Causes of Carryover |
研究に際しての事前調査の困難である。当初の想定に反し、遺伝子組み換えマウスを用いた解析系の構築において、遺伝子組み換えマウスの妊娠率が当初の想定以上に悪く、解析に必要な数を確保できないことが判明した。
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