2022 Fiscal Year Research-status Report
Identification of an endogenous AhR ligand and charcetrization of its mode of action
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22K19402
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
成宮 周 京都大学, 医学研究科, 寄附講座教員 (70144350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 信生 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (80511089)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 芳香族炭化水素受容体 (AhR) / keratinocytes / CYP1A1 / fillagrin / tryptophan / NHEK細胞 / HPLC |
Outline of Annual Research Achievements |
Aryl hydrocarbon receptor (AhR)は、dioxinやbenzpyreneなど芳香族炭化水素の受容体で、これらで活性化され、核に転移、チトクローム P450 などを誘導してこれらの代謝を促進する。AhRの働きは、dioxinの毒性発揮、benzopyreneの発がん性誘導、環境汚染物質による炎症惹起など生体に有害なことが多いが、これらはAhRの異物センサーとしての働きであり、遺伝子欠損マウスの解析からは、AhRが発生、細胞分化、抗炎症、免疫、生殖などに働くことが示されている。しかし、AhRがどのような内因性物質で活性化されこれらに働くのかは不明である。本研究の目的は、我々が培養ヒト表皮角化細胞(NHEK)の分化過程で見出した内因性のAhR活性化物質を同定し、その生理活性と発現メカニズムを解明することである。本年度は以下の研究を行った。 1.チトクロームp450(CYP1A1)及び表皮角化細胞でAhR依存性に誘導されることが知られているfillagrin (FLG)の発現を指標にNHEK細胞を用いてAhR活性化物質を検出するassay系を確立した。 2.上記を用いてNHEK細胞ライゼート及び培養上清のAhR活性化物質を検討し、細胞ライゼートのみならず培養上清でAhR活性化物質(CYP1A1及びFLG mRNA 誘導物質)を検出し、これがNHEK 培養にトリプトファン添加で増加することを確認した。また、各種阻害剤を用いることで、この活性がトリプトファンのキヌレニン経路によらないこと、また、IL-4添加と無関係であることを確認した。 3. 量的に多い培養上清を用いて、活性をSepPAK C18で抽出、ついで、順相クロマト、逆相クロマトにかけ、活性がいくつかのピークに分かれること、それらの溶出位置を同定した。一部、質量分析にかけたが構造同定には至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度中に構造同定に至る予定であったが、未達である。理由としては、培養上清を出発材料としても量的には極めて少量であること、また、活性が多数にわれること、未だにHPLCでのUV peakと一致した活性ピークの同定に至っていないこと、などがあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、活性の単離が第一であるので、出発材料のスケールアップ、majorな活性ピークのHPLCでの溶出条件の検討を重ねて、UV peakと一致する活性の溶出に努めたい。これができれば、mass spectrometryでの構造推定、推定化合物の有機合成と活性化確認へと進みたい。
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Causes of Carryover |
研究実績の概要、進捗状況に記載したように、活性の抽出、HPLCからの溶出まではできているが、最終精製にまでは至っていない状況である。この中で、mass spectrometryで検出できたいくつかの代謝物についてはauthentic 化合物を用いて活性測定を行ったが結果はnegativeであった。このような状況のため、本年度の支出も限られたものになって次年度繰越になった。令和5年度には、まず、いくつかのカラムを組み合わせて最終精製にまで進み、構造同定を行いたい。現在、そのためのトライアルを実施中である。これができればauthentic化合物の化学合成による活性体の確認を行う。また、これまでの阻害薬を用いた実験からは、indole環を保存したトリプトファン代謝物に可能性が高く、構造同定後は、これを生成する酵素の同定に進みたい。
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