2022 Fiscal Year Research-status Report
腸管粘膜バリア機能の低下に働く腸内細菌の同定とその機序の解明
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22K19420
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田原 聡子 筑波大学, 生存ダイナミクス研究センター, 講師 (20360589)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 腸管バリア / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
腸内細菌叢と腸管バリア機能は相互に影響し合って恒常性を維持しているが、腸管バリア機能を維持する機序の全容は明らかではない。腸管バリア機能の低下は、消化管疾患のみならず全身の疾患の発症に関わることから、腸管バリア機能低下に働く腸内細菌を明らかにし、この腸内細菌が腸管バリアの破綻に働く機序の一端を明らかにすることが出来れば、炎症性腸疾患、アレルギー、がん、神経変性、老化などの病態の理解と治療法の開発に貢献することになる。 我々は、抑制性免疫受容体アラジン-1ノックアウトマウスの腸管バリアが野生型と比較して定常状態で既に低下している現象を見出した。腸管バリア機能はFITC蛍光標識化高分子デキストラン(FITC-dex, 4 kDa, 10 mg/マウス)を経口投与して検証した。FITC-dexは細胞間隙短経路により吸収・透過されるため、腸管上皮が障害を受けるとデキストランの吸収・透過が亢進し、その結果血清中のFITC蛍光が亢進する。アラジン-1ノックアウトマウスの腸管バリア機能の破綻はアンピシリン耐性でネオマイシン感受性の腸内細菌によるものであることを明らかにした。16s RNAシークエンスの結果から、アンピシリン投与後のアラジン-1ノックアウトマウスにおいてリード数と血清FITC価が正に相関するグラム陽性編性嫌気性桿菌Aの単離に成功した。そこでこの細菌Aを無菌マウスへ移植したが、移植後2週間目の腸管バリアの破綻は観察されなかった。グラム陽性編性嫌気性桿菌Aは単独では腸管バリア破綻に働かずに他の細菌と協調して働く可能性がある。そこで、細菌Aをアンピシリンを2週間投与したWTマウスへ移植して腸管バリア機能を検証した結果、腸管バリア機能の破綻が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アラジン-1ノックアウトマウスに存在して野生型マウスに存在しない細菌Aを単離し、アンピシリン投与後の野生型マウスに移植したところ、腸管バリア機能が低下する結果を得た。一方、細菌Aを無菌マウスに移植しても腸管バリア機能の障害に働かないことから、この細菌単独ではなく、アンピシリン耐性の他の細菌と強調して腸管バリア機能の破綻に働くことを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度では、この細菌Aが腸管バリア機能の障害に働く作用機序の解明に取り組む。アラジン-1ノックアウトマウスでは、杯細胞とタフト細胞が有意に減少し、ネオマイシン投与によりそれが回復することから、細菌Aが杯細胞とタフト細胞の生存に関わる可能性が考えられる。細菌Aを小腸上皮細胞IEC-6や小腸上皮細胞株Caco-2に加えて盃細胞やタフト細胞の性状を解析する。
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