2022 Fiscal Year Research-status Report
三日熱マラリア原虫の実用的in vitro培養系の確立に向けた開発研究
Project/Area Number |
22K19441
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
金子 修 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (50325370)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | マラリア / 培養 / Plasmodium vivax / Plasmodium cynomolgi / Plasmodium knowlesi |
Outline of Annual Research Achievements |
三日熱マラリア原虫はヒトの幼若赤血球に侵入し増殖するが、大量のヒト幼若赤血球をルーチンに入手することは困難であるため実用的な培養系が存在しない。そこで、熱帯熱マラリア原虫のヒト成熟赤血球を認識するリガンドを三日熱マラリア原虫に導入することで、ヒト成熟赤血球に侵入し、発育することができる三日熱マラリア原虫の作出を目指す。この原虫を用いることで、本原虫の実用的な培養系が確立できると考える。初年度はP. knowlesiを用いて作製するリガンド発現プラスミドの評価とP. knowlesiにおける表現型を検討することを計画した。 成熟ヒト赤血球を認識するリガンド一つの遺伝子読み枠を熱帯熱マラリア原虫のゲノムDNAから増幅し、三日熱マラリア原虫RBLプロモーターにて発現するコンストラクトを構築した。実験室でサル赤血球を用いて継代維持しているPlasmodium knowlesi培養株にリガンド発現プラスミドを導入実験を行った。もう一つのリガンドについてプラスミドデザインを終了した。一方、次年度に予定していたPlasmodium cynomolgiを使う実験のために、長崎大学で継代培養をする系の立ち上げを進めた。当初、本原虫の継代培養ができなかったため、さまざまな培養条件を検討した結果、使用するサルの赤血球(アカゲザル、カニクイザル、ニホンザル)のいずれでも問題なく増殖するが、培地に加える血清成分の種類が原虫が増殖できるか否かを左右する重要な因子であることを見出した。培養系が確立したため、次年度に計画していたP. cynomolgiへのEBA175発現プラスミドの導入を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
次年度に計画するP. cynomolgiへの遺伝子導入を行うためには、本原虫を安定して培養できるようになる必要があったが、その最適化に時間を要した。P. knowlesiの実験についてはやや遅れたが、その代わりに次年度に計画していた実験の一部を推進することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
一つ目のリガンドを発現する組換えP. knowlesiの表現型を至急解析するとともに、二つ目のリガンドを発現する組換えP. knowlesiの作製と表現型解析を進める。組換えP. cynomolgiの作製と表現型解析も並行して進めることで予定のマイルストーンを達成する。
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Causes of Carryover |
令和4年度に行う予定であった組換え原虫の作製と表現型解析が遅れており、令和5年度にすることにしたため、その分の分子細胞生物学試薬類、タンパク質解析用試薬一式、培養用試薬一式、プラスチック器具などの予算の一部を令和5年度に使用することとする。また、令和4年度に予定通りに米国熱帯医学会年会に参加したが、本研究には別の財源を用いたため、本研究費からの支出はなかった。昨今の円安傾向を考え、令和5年度に予定しているオタゴ大学への渡航費に加える予定である。
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