2022 Fiscal Year Research-status Report
Structural Chemistry of the Fusion Protein Responsible for Ewing's Sarcoma Using State-of-the-Art Measurement Techniques
Project/Area Number |
22K19452
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岩崎 憲治 筑波大学, 生存ダイナミクス研究センター, 教授 (20342751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹中 聡 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 整形外科部長 (00588379)
古寺 哲幸 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 教授 (30584635)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | Ewing肉腫 / クライオ電子顕微鏡 / AFM |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで分子生物学・細胞生物学で研究されてきたEwing肉腫発症機構の解明に最先端のクライオ電顕技術や高速AFM等の生物物理学の手法, さらに物理化学的な定量解析を取り入れ, 化学のレベルでそのメカニズムを解明することが本研究課題の目的である。本課題のターゲットタンパク質は染色体転座で生じるEWS-FLI1融合タンパク質である。それはRNA結合タンパク質であるEWSR1のN末端領域とETS転写因子であるFLI1のC末端領域が融合した構造をもっている。 EWS-FLI1がクロマチンリモデリング複合体に結合することで, 腫瘍特異的なエンハンサーへのBAF複合体のリクルートが起こり, 発がんに関連した遺伝子の活性化が起きるというメカニズムが提唱されている。そこで,研究計画通り 2022年度は,まずは全長およびフラグメントの発現・精製系の構築,EWSR1,EWS-FLI1,EWS-FLI1のEWS領域(EWS(1-270))とFLI1領域(FLI1(197-452))の5つの発現系と精製系の構築を行うことを予定していた。しかし,これらの全長およびフラグメントの精製には2022年度中に行うことができなかった。また,当初の研究計画にはなかったが,EWS-FLI1がBAF複合体と相互作用することがユーイング肉腫発生につながる遺伝子の発現異常を引き起こすことが報告されていることから,BAF複合体の発現精製にも着手した。しかし,15サブユニットからなら複雑で巨大なBAF複合体の発現精製は2022年度中に完遂することができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
長およびフラグメントの発現・精製系の構築,EWSR1,EWS-FLI1,EWS-FLI1のEWS領域(EWS(1-270))とFLI1領域(FLI1(197-452))の発現・精製にに手間取っている。また,BAF複合体の発現精製も計画に入れたが,こちらも15サブユニットからなる巨大で複雑な複合体のため,発現・再構築に手間取っている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は, EWS-FLI1の完全長およびフラグメントの発現・精製を行う上で,発現コンストラクトだけでなく,発現系の選択も考慮に入れて研究を遂行する。これらに成功したら二量体構造の検証からDNAとの親和性の物理化学測定を試みる。
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Causes of Carryover |
研究実績の概要および現在までの進捗状況で述べたようにEWSR1,EWS-FLI1,EWS-FLI1のEWS領域(EWS(1-270))とFLI1領域(FLI1(197-452))の5つの発現系と精製系の構築も完成しておらず,BAF複合体の発現・精製にも成功していない。このため,研究計画の進行が遅れており,それに応じて予算の執行が次年度へと移行した部分が生じた。
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