2023 Fiscal Year Annual Research Report
Spatiotemporal T-cell differentiation dynamics in the tumor "peripheral" environment
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22K19459
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
冨樫 庸介 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (80758326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宝田 剛志 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (30377428)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 腫瘍免疫 / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫チェックポイント阻害薬(ICI)を含むがん免疫療法が臨床応用されたが、その効果は満足のいくものではない。T細胞の長期メモリー誘導・ミトコンドリア代謝・酸化的リン酸化が長期効果に重要とされているが詳細は不明である。我々は腫瘍浸潤リンパ球(TIL)に加え、腫瘍「周辺」環境の抗腫瘍免疫応答での重要性に注目し、ヒト検体でシングルセルシークエンスを行った。結果、「周辺」環境では免疫老化を防ぐ分子が高発現し、ミトコンドリア機能が保たれ、ICIの長期効果に関わる可能性が考えられた。そこで、同定した老化を防ぐ分子やミトコンドリアに注目し、臨床検体や独自のマウスモデルで研究を行った。 まず、T細胞株や末梢血T細胞に同定した遺伝子を強制発現し評価したところ、T細胞の活性化が明らかに上昇した。ミトコンドリア異常に関してはミトコンドリア異常TILのほうが老化マーカーが上昇し活性化やメモリー形成が障害されていた。またin vivoで腫瘍を移植したところ腫瘍局所でのミトコンドリア異常が見られたが、周辺の所属リンパ節などではミトコンドリア異常は少なかった。またその空間分布も明らかにする目的でゲノム支援によりVisiumによる解析も行って現在継続して解析中である。 次に研究分担者が開発したTRE-PA-Creシステムを利用し、上記遺伝子やミトコンドリアDNA維持に必要なTfam遺伝子をコントロールできるマウスの作成を目指したが、免疫細胞が死んでしまいこのモデルでの利用を断念した。一方でT細胞特異的なコンディショナルノックアウトマウスでは抗腫瘍免疫応答の低下、並びに一度ICIで治療したのちに同じ腫瘍を再接種した場合の拒絶が見られなくなった。最後にICIの治療効果に関して臨床検体を解析したところ、無病増悪期間と全生存期間ともにミトコドリア異常のある集団が有意に悪かった。
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