2022 Fiscal Year Research-status Report
微小液滴内反応を基盤とした高機能性組換え抗体ハイスループット単離法の開発
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22K19460
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
今野 大治郎 近畿大学, 理工学部, 准教授 (00362715)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 微小液滴 / ドロップレット / モノクローナル抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究実施計画で策定した3 つのAim の中のAim1およびAim2を達成するため以下の準備を進めた。Aim3については後述の通り予備実験を進め、問題点の確認とその解決方法を考案した。 (Aim1) RNA免疫法による高機能性抗体産生の惹起を目指し、合成mRNAをデザインした。既報の論文を参考にHSD17B4の5'UTR-ターゲット遺伝子-PSMB3の3'UTRの後にhistone stem-loop poly(A)100を接続した構築を考案した。また、抗体作製ターゲット分子として、腫瘍内浸潤Treg細胞での特異的な発現が報告されているヒトCCR8を選定した。これらのRNAをin vitroで合成する際、RNA免疫においてその有効性が報告されているウラシルを1メチルシュードウリジンに置換し、また5'末端にキャップ構造を付加したものを合成した。これらの合成RNAがDNA免疫と比較して高効率な免疫反応の惹起が可能かを現在検討中である。 (Aim2) 微小液滴(ドロップレット)を用いた高機能性抗体産生リンパ球の同定を目指し、マイクロ流体デバイス(On-Chip droplet generator)による細胞含有water-in-oil型微小液滴の作製を試みた。細胞にはテストケースとしてA431細胞およびEGFR細胞外ドメイン認識抗体産生ラットハイブリドーマ(株式会社細胞工学研究所より供与)を用いた。その結果、A431およびハイブリドーマを共に含む約100um経ドロップレットを作製することに成功した。その際、細胞培養培地中に蛍光標識二次抗体を加えることにより、抗体が反応したA431細胞を蛍光により可視することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画で策定した3 つのAim の中のAim1およびAim2に関して予定通り計画を実施できた。Aim2に関しては実際に実験を実施することで問題点が複数確認されたが、これらについてはドロップレット作製装置のバージョンアップによる解決を試みており、計画は順調に進展していると判断できる。またAim3については予定より先行して予備実験を実施しているが、使用したゲル化剤が想定通りに固まらないなど複数の問題が確認されている。しかし後述する通りこれらの問題点の多くは解決策を見出せており、次年度も順調に進むことが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は研究実施計画で策定した3 つのAim の中のAim1およびAim2に加え、Aim3についても実施を進める。具体的にはセルソーティングと1細胞遺伝子発現解析によるハイスループット化を目指し、微小液滴をゲル化させる方法を検討する。本年度はそのための予備実験を実施したが、当初予定していた融解低融点アガロースおよび光硬化ゲル化剤は送液中にゲルが固化するなど取扱が非常に難しく、実際の使用が困難であることが判明した。そこで、チオール基を付加した4分岐ポリエチレングリコール(4-arm-PEG-SH)と西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)を組み合わせたゲル化法を用いた結果、ドロップレット作製後のゲル化に成功したことから、今後はこの新しいゲル作製方法を軸としてAim3の実現を目指す。
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Causes of Carryover |
初年度に計画していたドロップレット作製装置を用いた細胞含有液滴作製実験の条件検討について、当初使用を予定していた機器は共同研究先に設置してあるNadia Dolomiteであったが、コスト削減および実験者の負担軽減を目的としてOn-Chip社製のDroplet generator(貸出機使用)に変更したことにより、予算使用の内訳および使用年度を変更した。そのため、実験計画を大幅に変更することなく、初年度に使用予定だった予算の多くを次年度に使用することになった。
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