2022 Fiscal Year Research-status Report
代謝調節を介してT細胞活性化閾値を改善する新機軸の難治性腫瘍に対する治療法の開発
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22K19461
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
村岡 大輔 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍免疫制御TR分野, ユニット長 (20608955)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 代謝調節 / 抗原認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究では、ミトコンドリアの電子伝達系の活性化後に、どの様なシグナル分子が解糖系の亢進を惹起するのかを明らかにする。我々は、弱い抗原刺激下においても、ミトコンドリアの活性化を介し強制的に解糖系を亢進することでT細胞の活性化を導く、新規化合物A(以下、化合物A)を同定しており、本研究では当化合物を用いて、どの様なシグナル分子が解糖系の亢進を惹起するかを明らかにすることを目指す。本年度は、モデル化合物を増やすことで、今後の検討を円滑に進めることが可能になると考え、化合物ライブラリーを用いた解析を先行し、まず化合物Aと同様の機能を有する化合物の探索を行うことにした。しかし、ミトコンドリアの膜電位の変化を指標として数十種の化合物の検討を行ったが、化合物Aの様にミトコンドリアの活性化を導く化合物の同定には至らなかった。次に、T細胞の代謝改善を介し抗腫瘍免疫応答を増強すると報告があるベザフィブラートやメトホルミンが化合物Aと同様の作用を有するかを検討した。弱く抗原刺激を施したT細胞をこれらの化合物で処理し検討を行ったが、これらの化合物がミトコンドリアの膜電位に影響を及ぼすことは確認できたが、T細胞の抗原認識能を増強することは確認できなかった。以上の様に、化合物Aと同様の機能を有する化合物は同定できなかった。この結果から化合物Aと類似の性質を有する化合物の同定は難しいと考え、次年度は、化合物Aのみを用いて解糖系に関わる分子の同定を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、モデル化合物を増やすことで今後の網羅的解析の絞り込みが優位になると考え、化合物Aと同様の機能を有する化合物の同定を試みたが、その様な化合物は同定できなかった。今後は、化合物Aのみを用いた解析を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
解糖系亢進に関わる分子の同定に向けた網羅的な解析を進める。また、得られた知見を基盤とした、新規治療法の確立も行う。現在まではマウスリンパ球を中心に検討を進めてきたが、ヒトリンパ球を用いた検討も同時に進める予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度より、新たなる研究室に異動したため、研究体制を整えるのに時間がかかり、検討のペースが遅くなった為。本年度の細胞培養試薬や抗体の購入費に使用する。
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