2023 Fiscal Year Annual Research Report
代謝調節を介してT細胞活性化閾値を改善する新機軸の難治性腫瘍に対する治療法の開発
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22K19461
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
村岡 大輔 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍免疫制御TR分野, ユニット長 (20608955)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 代謝調節 / 抗原認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究では、ミトコンドリアの電子伝達系の活性化後に、どの様なシグナル分子が解糖系の亢進を惹起するのかを明らかにする。我々は、弱い抗原刺激下においても、ミトコンドリアの活性化を介し強制的に解糖系を亢進することでT細胞の活性化を導く、新規化合物A(以下、化合物A)を同定している。化合物A処理後に発現が変化する遺伝子を検討する為、RNA-seq解析を実施した。PCA解析を行った結果、化合物A処理がリンパ球における遺伝子発現変化を導くことが確認できた。さらに、化合物A処理により発現が変化する遺伝子の解析を進め、化合物A処理により優位に発現が減少する遺伝子が70遺伝子、発現が上昇する遺伝子が43遺伝子あることが分かった。次にこれら発現変化があった遺伝子がどの様な生物学的性質を有するかをGene Ontlogy解析にて検討し、細胞間相互作用や活性化経路に関連する遺伝子の発現が変化していることが分かった。さらに、化合物A処理および未処理群の遺伝子発現をVolcano Plotにて比較し、化合物A処理は、STK4の発現を減少させ、Ndufv3やSkap1そしてCD83などの遺伝子の発現を上昇させることが分かった。以上より、化合物A処理はT細胞の抗原認識能を促し活性化を促進すると共に、細胞間相互作用に関連する分子の発現を向上することはが分かった。化合物A処理により発現が上昇するSKAP1はLFA-1のシグナルに関与するとの報告があり、また、LFA-1はT細胞の細胞間相互作用に重要なインテグリンの一つである。以上より、化合物AがSKAP1を介しLFA-1の機能を変化させることで、当化合物の作用を生み出す可能性が示唆された。
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