2022 Fiscal Year Research-status Report
一次感覚神経特異的なエクソソーム膜タンパク質を標的としたがん抑制性鎮痛の検討
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22K19463
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
坂井 敦 日本医科大学, 医学部, 講師 (30386156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 基世 日本医科大学, 医学部, 助教 (60709757)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 細胞外小胞 / エクソソーム / 一次感覚神経 / 後根神経節 / がん / がん性疼痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
一次感覚神経は痛みを含む様々な体性感覚を伝達するのみでなく、免疫細胞などの機能を調節することにより末梢組織に多大な影響を及ぼしうる。一次感覚神経は神経伝達物質の他に、エクソソームのような細胞外小胞を放出することで、近傍の細胞機能を調節することが示されてきている。従って、本研究では一次感覚神経が放出するエクソソームによる、がんやがん性疼痛への影響を解析し、それぞれの抑制効果が相乗的に得られる治療戦略の可能性を探索する。一次感覚神経から放出されるエクソソームに含まれる様々な膜タンパク質を対象として、ELISA法などによりエクソソームの放出に影響するものを探索した。一次感覚神経はヒトiPS細胞から分化誘導することでヒト妥当性も併せて解析した。複数のエクソソームに含まれる膜タンパク質を標的とする薬物により、一次感覚神経からのエクソソーム放出が変化することを見出した。さらに、このようなエクソソーム放出の調節に関わる細胞内情報伝達経路を各種阻害薬を用いることで検討した。また、一次感覚神経から放出されるエクソソームによる末梢細胞への影響を定量的PCRなどを用いて解析した。これらの結果から、一次感覚神経によるエクソソーム放出を制御する複数の分子メカニズムが明らかになると同時に、それらを標的とする薬物によるエクソソームの放出制御の可能性も見出された。一次感覚神経によるエクソソーム放出の抑制が、がんやがん性疼痛の治療に繋がることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一次感覚神経からのエクソソーム放出に対する調節機構の解明が順調に進んでおり、エクソソーム機能の解析にも着手し始めていることから、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
一次感覚神経から放出されるエクソソーム機能をin vitroとin vivoの両面から解析していくと共に、現在同定している一次感覚神経からのエクソソーム放出を変化させる薬物によるがん治療への応用可能性を検討していく。
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Causes of Carryover |
細胞培養試薬や細胞株、エクソソームを標的とする薬物の種類や価格が比較少なかったため、経費に余剰が生じた。翌年度はさらに大規模でこれらの実験を進めるとともに、in vivoの実験で大量に薬物なのが必要となるため、それらの経費に使用する。
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