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2022 Fiscal Year Research-status Report

不快情動に対する自律神経応答を惹起する神経回路メカニズム

Research Project

Project/Area Number 22K19477
Research InstitutionUniversity of Tsukuba

Principal Investigator

松本 正幸  筑波大学, 医学医療系, 教授 (50577864)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 小金澤 禎史  筑波大学, 医学医療系, 助教 (80431691)
Project Period (FY) 2022-06-30 – 2024-03-31
Keywords自律神経 / 情動 / 外側手綱核
Outline of Annual Research Achievements

快・不快の情動は心拍や呼吸、血圧などの自律神経系の働きに大きく影響し、情動の変調が顕著な精神疾患では自律神経制御に異常が見られることが多い。これらの知見は、情動生成に関わる神経メカニズムが自律神経制御機構に介入することを示唆する。研究代表者はこれまで、外側手綱核と呼ばれる神経核が不快情動の生成に深く関与することを世界に先駆けて明らかにしてきた。外側手綱核は自律神経制御を担う脳領域と連絡することから、情動生成と自律神経制御をつなぐ理想的な位置にある。本研究では、外側手綱核がどのようなメカニズムを介して不快情動によって惹起される自律神経性の血液循環調節および呼吸運動調節に関わっているのかを神経回路レベルで検討する。
研究代表者はこれまでの研究において、外側手綱核がモノアミン系を介して自律神経性の血液循環調節に関与していることを明らかにしてきた。一方で、外側手綱核が、血液循環と同様に不快情動の影響を受けることが知られている呼吸運動を調節するかどうかは明らかとなっていない。そこで、麻酔ラットを用いて、外側手綱核を電気刺激により興奮させ、これによる呼吸運動への影響を検討した。その結果、外側手綱核の電気刺激は、刺激頻度および刺激強度依存的に、呼吸頻度と分時換気量を増加させることによって、呼吸運動を亢進させることが明らかとなった。さらに、この外側手綱核刺激による呼吸頻度および分時換気量の増加は、ドーパミン受容体遮断薬の静脈内投与により、有意に抑制された。したがって、外側手綱核はモノアミンニューロン群の活動調節を介して、自律神経性の血液循環のみならず、呼吸運動も制御しているものと考えられる。このことは、不快情動に対して応答する外側手綱核がモノアミン系を介して、心臓血管中枢・呼吸中枢のニューロン活動に影響を与えることにより、自律神経性の血液循環・呼吸運動調節に関与している可能性を示唆している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究では、不快情動の生成に深く関与する外側手綱核が、情動性の自律神経制御に果たす役割とその制御メカニズムを神経回路レベルで明らかにすることを目的とする。すでに外側手綱核の活動操作が不快情動の影響を受けることが知られている呼吸運動を調節することを明らかにし、また、この調節にドーパミン神経系が重要な役割を果たしていることを明らかにした。これまで外側手綱核と呼吸運動との関係は報告されておらず、本研究の成果は極めて独創的であると言える。以上から、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。

Strategy for Future Research Activity

これまでの研究の中で、外側手綱核による呼吸運動の制御にドーパミン神経系が関与することを明らかにしたが、ドーパミン神経系の起始核は複数存在し、神経回路の全体像は不明なままである。今後、ドーパミン神経の起始核である黒質緻密部や腹側被蓋野をターゲットにした介入操作を行い、呼吸運動を制御する外側手綱核―ドーパミン神経回路の全体像を明らかにする。また、外側手綱核との関係が深いセロトニン神経系にも注目する。セロトニン受容体遮断薬の投与やセロトニン神経の起始核をターゲットにした介入操作を行い、外側手綱核―セロトニン神経回路が呼吸運動制御に果たす役割を明らかにする。

Causes of Carryover

コロナ禍の影響もあり、いくつかの学会発表(オンサイト)を見送った経緯がある。R5年度の成果発表、実験を加速するための物品費として使用する予定である。

  • Research Products

    (5 results)

All 2023 2022 Other

All Presentation (4 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results) Remarks (1 results)

  • [Presentation] ラット外側手綱核の活性化はストレス性の呼吸応答を誘発する2023

    • Author(s)
      水上璃子、松本正幸、小金澤禎史
    • Organizer
      第100回日本生理学会大会
  • [Presentation] The activation of the LHb elicits the stress-like cardiovascular response via the dopaminergic system.2022

    • Author(s)
      Yuma Sato, Masayuki Matsumoto and Tadachika Koganezawa
    • Organizer
      The 12th Congress of the International Society of Autonomic Neuroscience
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] Involvement of the midbrain dopamine area in the stress-like cardiovascular response induced by the excitation of the lateral habenula in rats.2022

    • Author(s)
      Yuma Sato, Masayuki Matsumoto and Tadachika Koganezawa
    • Organizer
      Tsukuba Global Science Week 2022
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] Activation of the Lateral habenula triggers a stress-related ventilatory response.2022

    • Author(s)
      Rio Mizukami, Masayuki Matsumoto and Tadachika Koganezawa
    • Organizer
      Tsukuba Global Science Week 2022
    • Int'l Joint Research
  • [Remarks] 認知行動神経科学研究室ホームページ

    • URL

      https://www.md.tsukuba.ac.jp/basic-med/cog-neurosci/index.html

URL: 

Published: 2023-12-25  

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