2022 Fiscal Year Research-status Report
膨張試料顕微鏡法と全脳カルシウムイメージングの統合による神経回路動態の包括的解析
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22K19479
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
能瀬 聡直 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (30260037)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | ショウジョウバエ / 膨張顕微鏡 / カルシウムイメージング / コネクトーム / 神経回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経回路上でどのように情報が伝播して脳機能を生み出すのかを理解するためには、「脳全体の神経回路がどのように配線されているのかを決定」するとともに、「脳全体の神経活動を細胞レベルの解像度で記録」し、得られた結果を統合して解釈することが重要である。コネクトミクス解析(電子顕微鏡画像の 3 次元再構築)および全脳カルシウムイメージングは、それぞれ前者、後者の目的を達成しつつあるが、両者を統合して解釈することはいまだ実現されていない。本研究では、光学顕微鏡で簡単に組織の微細構造を解析できる膨張試料顕微鏡法を用いて、カルシウムイメージングから得られる「活動」に関する情報とコネクトミクスから得られる「構造」に関する情報を統合し、システム全体の作動機構を明らかにすることを目的とする。このため、コネクトミクス解析とカルシウムイメージング両方の技術が発達しているショウジョウバエ幼虫をモデルとした研究を行う。本年度は、幼虫の中枢神経系に膨張試料顕微鏡法を適用するために、免疫染色などの実験条件を探索した。その結果、約 4 倍の組織膨張によって 100 nm 程度の分解能が得られ、全神経細胞を染色したサンプルから単一の軸索・シナプスの構造を安定して可視化できるようになった。さらに、少数の神経細胞群と全神経細胞の2重染色を行うことで、特定の細胞種が形成する軸索の束をいくつか同定した。これにより、コネクトミクス解析との統合に必要なサンプル間の構造比較のための参照点が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膨張試料顕微鏡法を適用するために、免疫染色などの実験条件を探索し確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
膨張試料顕微鏡法により神経伝達物質の染色を行う。またCaMPARIを用いた神経活動測定データとの統合を試みる。
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Causes of Carryover |
(理由)当初今年度に予定していた神経伝達物質の染色実験を次年度に持ち越したため。 (使用計画)神経伝達物質の染色実験に必要な消耗品の購入のため使用する予定である。
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