2023 Fiscal Year Research-status Report
新たな選択的細胞標識ツールの構築と神経回路・活動の細胞種間ネットワーク解析
Project/Area Number |
22K19481
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
勢力 薫 大阪大学, 大学院薬学研究科, 助教 (90802918)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | アデノ随伴ウイルスベクター / 神経科学 / 細胞種選択的プロモーター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、神経科学研究においてin vivo遺伝子導入に利用されるアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いて、神経細胞の細胞種選択的に遺伝子を発現させる新たな細胞標識AAVツールの構築を目指している。これまでに、組み換えAAVゲノム上の調節性配列の配置を独自に最適化し、神経ペプチドやモノアミン神経などの神経修飾系の細胞種を標的としたAAVベクターを構築してきた。当該年度は、セロトニン神経を標的としたAAVの構築に加えて、昨年度に引き続きドパミン神経への遺伝子導入を可能にするAAV構築およびマウスへの脳内局所注入条件の最適化を実施した。その結果、セロトニン神経用のTPH2プロモーターおよびドパミン神経用のTHプロモーターともに、昨年度までに構築してきたオキシトシン神経用AAVと同じ注入量では非特異的な発現が認められた。そこで非特異的発現を回避するために、AAVの注入量を低減する等の条件を検証した結果、従来の一般的な配列構成のAAVでは、注入するウイルス量の減少に伴って顕著な遺伝子発現効率の低下が認められたものの、独自に構築した配列構成のAAVでは、標的とする細胞種に対する標識効率を80%以上に維持しつつ、細胞種選択性を向上できることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までに構築したオキシトシン神経に選択的な遺伝子発現を可能にするAAVに加えて、他の細胞種にも応用できることを示すことができたことから、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では、構築した技術を用いて蛍光タンパク質などを発現させる場合には細胞腫特異的な発現が認められているものの、光遺伝学ツールであるチャネルロドプシンの一部などを発現させると非特異的な発現が生じる場合がある。搭載する遺伝子の配列など、何らかの要因によって発現効率や細胞種選択性が影響を受けると考えられるため、発現遺伝子周辺の非コード領域の改変などを通して改善可能か検証する。 また、野生型マウスの同一個体において二種類以上の細胞種を多色の蛍光タンパク質で標識し、その軸索分布の細胞種間比較や、カルシウム感受性蛍光タンパク質を用いた多種細胞の神経活動計測に向けた実験系の確立に取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
本研究により得られた成果を学術論文に投稿しており、オキシトシン神経に選択的なAAVなどにおいて対照群の追加などを始めとするリバイス実験を実施する必要が生じたため。
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