2023 Fiscal Year Research-status Report
Study of searching for exosomal microRNA as a humoral factor that regulates human aging process based on the change in frailty status
Project/Area Number |
22K19496
|
Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
新村 健 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70206332)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
|
Keywords | フレイル / エクソソーム / microRNA / サルコペニア / コホート研究 / 老化 / 認知機能障害 / 骨粗鬆症 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度も引き続き丹波篠山在住高齢者を対象としたコホート研究を継続し、計256名に参加いただいた。これでCOVID-19流行によるコホート研究中止期間開けの2021年10月17日以降に本コホート研究に参加した高齢者は延べ776名となった。このうち501名は本コホート研究に2回以上参加していた。 そこでこの501名の参加者の最終参加時と前回参加時のAWGS2019に基づいたサルコペニアの状態を対比し、①ロバスト→ロバスト群、②ロバスト→サルコペニア群、③サルコペニア→ロバスト群、④サルコペニア→サルコペニア群の4群に分類した。さらに各群全例の臨床背景や血液検査データを確認し、心肺腎肝の慢性疾患、糖尿病、直近2年以内のがん罹患歴のない症例のみを選別した。③サルコペニア→ロバスト群は数が十分でなかったため、他の3群から44名(男性20名、女性24名、①ロバスト→ロバスト群16名、②ロバスト→サルコペニア群19名、④サルコペニア→サルコペニア群9名)をエクソソームmicroRNA解析の対象者として選定した。これらの症例ではJ-CHS基準によるフレイル状態変化も確認済みであり、フレイル状態変化による群分けも可能である。 これらの症例の凍結保存していた血清試料を用いて、まずエクソソーム分画を抽出し、次にmicroRNAを抽出した後、microRNAAチップを用いた発現解析を行う計画である。血清からのエクソソーム分画の抽出に関しては、富士フィルム和光純薬に、microRNAの抽出から3D-Gene マイクロRNAチップを用いた発現解析は東レ株式会社 鎌倉テクノサイエンスに検査委託を行う。現在、血清からエクソソーム分画の抽出は終了し、精度チェックのための電子顕微鏡撮影検査も終了したことから、サンプルを東レ株式会社鎌倉テクノサイエンスに引き渡したところである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
過去2年間、順調にコホート研究は実施できた。しかし、サルコペニア、フレイル状態の変化に基づくエクソソームmicroRNA発現変化を検討するには、サルコペニア、フレイル状態の変化を認めた参加者を数多く集める必要があった。その為には、調査参加者の追跡率を上げる必要があり、参加者のリクルートにそれなりに時間がかかったことが進捗遅れの第一の原因である。 第二に解析委託するためには多くの研究費が必要であり、本科研費のみでは不十分であった。そこで研究資金の確保のために時間を要したことが進捗遅れの原因である。幸い、研究資金のめどがついたため、2023年年度末に前記委託業者にサンプルを提出し解析検査を開始できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度も引き続き高齢者コホート研究は継続する。すでに6月と7月の実施に向けて準備を進めている。 今後、microRNA発現解析結果が出た時点で、各群間のmicroRNA発現変化を明らかにし、サルコペニア、フレイル状態変化と関連したmicroRNAを同定したい。まず、①ロバスト→ロバスト群と③サルコペニア→サルコペニア群の2群で発現レベルの異なるmicroRNAを同定する。次に①ロバスト→ロバスト群と②ロバスト→サルコペニア群の2群で発現レベルの異なるmicroRNAをサルコペニア促進候補として選定し、②ロバスト→サルコペニア群と③サルコペニア→サルコペニア群の2群で発現レベルの異なるmicroRNAと対比したい。選定されてきたmicroRNAが複数ある場合は、おのおのの臨床的意義を確認する目的で、臨床背景や血液検査データ、身体機能データとの関係を解析する。 同様の解析を、J-CHS基準による①ロバスト→ロバスト群、②ロバスト→フレイル群、③フレイル→ロバスト群、④フレイル→フレイル群の4群間で比較して行っていきたい。 追加資金の確保ができ、2024年度のコホート研究により、③サルコペニア→ロバスト群の対象者数が増えた際には、この群においてもエクソソームmicroRNA解析を行い、サルコペニア抑制候補microRNA選定に向けた追加解析を行いたいと考えている。 以上の解析結果は、2024年度後半または2025年度前半の関連医学会での学会発表、および2025年度中の英語論文発表を目指して準備を進めていきたい。
|
Causes of Carryover |
実験の進捗に遅れが生じたため、次年度使用額が生じた。 その理由として、解析対象となるサンプルの収集に時間がかかったことが一因である。過去2年間、順調にコホート研究は実施できたが、サルコペニア、フレイル状態の変化に基づくエクソソームmicroRNA発現変化を検討するには、サルコペニア、フレイル状態の変化を認めた参加者を数多く集める必要があった。その為には、調査参加者の追跡率を上げる必要があり、参加者のリクルートにそれなりに時間がかかったことによる。 第二に解析委託するためには多くの研究費が必要であり、本科研費のみでは不十分であった。そこで研究資金の確保のために時間を要したことが進捗遅れの原因である。幸い、研究資金のめどがついたため、2023年年度末に前述の委託業者にサンプルを提出し、解析検査を開始できた。2024年度前半には研究計画に沿った解析が行える状況である。
|