2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of Mitochondria-Targeted Theranostic Agents for Cancer-Specific Glutaminolysis
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22K19504
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小林 正和 金沢大学, 保健学系, 教授 (30444235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 明日香 金沢大学, 保健学系, 助教 (00828452)
国嶋 崇隆 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (10214975)
西井 龍一 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (60463212)
川井 恵一 金沢大学, 保健学系, 教授 (30204663)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 核医学 / がん / グルタミノリシス / 分子イメージング / セラノスティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、がん細胞におけるグルタミノリシス経路の可視化とミトコンドリアDNA標的治療法の確立を目指し、当該経路で特異的に亢進するアミノ酸トランスポーターASCT2とグルタミナーゼ (GLS)に高親和性を有する新規核医学セラノスティクス薬剤を開発することを目的とした。がん細胞では、「ワールブルク効果」と呼ばれる解糖系の代謝亢進が起きていることは古くから知られているが、糖代謝と関連の深いアミノ酸代謝にも劇的な代謝亢進が起こることが明らかになった。特に、がんに特異的なアミノ酸代謝として、「グルタミノリシス」が注目されているがんのグルタミノリシスとは、ASCT2によって細胞内に取り込まれたグルタミンがミトコンドリア内の代謝酵素GLSによってグルタミン酸に変換後、乳酸に分解される経路である。GLSが特異的に亢進するがん細胞において、抗酸化作用をもたらすグルタチオンが大量生成し、抗がん剤に対する薬剤耐性化が引き起こされるため、グルタミンからGLSによるグルタミン酸への移行量を正確に可視化できれば、がん細胞の薬剤耐性化が観察できる可能性が高いと期待した。このような背景の中、2022年度には、ASCT2やGLSに対して、ある一定レベルの親和性を有する2つの化合物の同定に至ったため、2023年度には、これらをリード化合物とした標識原料を合成した。また、これらの標識原料に対する放射性ヨウ素標識体の合成に成功した。さらに、ヒト由来がん細胞株4種において、これらの放射性ヨウ素標識体の集積量を検討した結果、リアルタイムPCRにおいてASCT2の遺伝子発現量が高かった細胞株において、放射性ヨウ素標識体Gの集積量が高くなった。加えて、阻害剤を用いて検討した結果、ASCTとGLSの寄与が見出されたため細胞集積実験レベルでは、放射性ヨウ素標識体GはASCTにより細胞内に取り込まれ、GLSによりミトコンドリア内に集積する薬剤であると思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標通り、2023年度は放射性ヨウ素標識体開発のための標識原料の合成と、放射性ヨウ素標識体の開発を行い、ヒト由来がん細胞株において、その標識体の有効性を評価できた。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、開発した放射性ヨウ素標識体を担がんマウスにおいて評価する予定である。
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