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2023 Fiscal Year Research-status Report

「自己」から逸脱し始めた老化細胞への免疫応答はPD-1によって抑制されるのか?

Research Project

Project/Area Number 22K19508
Research InstitutionNara Institute of Science and Technology

Principal Investigator

石田 靖雅  奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (10221756)

Project Period (FY) 2022-06-30 – 2025-03-31
KeywordsPD-1 / aging / neoantigen / T-cell exhaustion / parabiosis / autoimmunity
Outline of Annual Research Achievements

(1) 生後 21 月齢の老化 C57BL/6 マウスに、機能阻害型 PD-1 抗体(clone 4H2; Melinda, B.L. et al. Clin. Cancer Res. 15, 1623-1634, 2009. ラットで 作製した抗マウス PD-1 モノクローナル抗体の定常領域を、遺伝子組換えによってマウス IgG1 の Fc + Ckappa部分に置き換えたもの)を投与した。若齢時に定義された「自己」から逸脱し始めた老化細胞に対する免疫応答を PD-1 が抑制しているならば、PD-1 抗体の投与により、老化マウスには何らかの自己免疫病態 が引き起こされる可能性が高いと期待された。それに対し、生後 2~3 月の若齢マウスに同抗体を投与した場合には、自己免疫病態は引き起こされないと考えら れた。実験結果は、予想通りのものであった。
(2) 生後 21 月齢の老化 C57BL/6 マウスと、生後 2~3 月の若齢 PD-1 KO マウスを parabiosis(並体結合)によって連結した。老化マウスがゲノム変異由来 のネオ抗原を多数発現しているならば、若齢マウスに由来する T 細胞が老化マウスの体内でそれらを認識して活性化され、特に PD-1 による抑制が働かない場合には、何らかの免疫異常が引き起こされる可能性が高いと考えられた。それに対し、生後 21 月齢の老化 WT マウスと若齢 WT マウスを parabiosis によって連結した場合には、たとえ老化マウスのネオ抗原を若齢マウスに由来する T 細胞が認識した場合でも、その応答は PD-1 によって抑制されてしまうと考えられ た。実験結果は、予想通りのものであった。
(3) Parabiosis 実験に用いる PD-1 KO マウスの CD45 分子のアロタイプを、交配により、通常の CD45.2 から CD45.1 に変換し、炎症巣に浸潤する(主に)リンパ球が、どちらのマウスに由来するものかを判定できるシステムを樹立した。老化マウスの炎症巣に浸潤するリンパ球は、大部分が PD-1 KO マウスに由来するものであった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

理由
(1) 生後 21 月齢の老化 C57BL/6 マウスに、機能阻害型 PD-1 抗体(clone 4H2)を投与した。若齢時に定義された「自己」から逸脱し始めた老化細胞に対する免疫応答を PD-1 が抑制しているならば、PD-1 抗体の投与により、老化マウスには何らかの自己免疫病態 が引き起こされる可能性が高いと期待された。それに対し、生後 2~3 月の若齢マウスに同抗体を投与した場合には、自己免疫病態は引き起こされないと考えられた。実験結果は、予想通りのものであった。
(2) 生後 21 月齢の老化 C57BL/6 マウスと、生後 2~3 月の若齢 PD-1 KO マウスを parabiosis(並体結合)によって連結した。老化マウスがゲノム変異由来 のネオ抗原を多数発現しているならば、若齢マウスに由来する T 細胞が老化マウスの体内でそれらを認識して活性化され、特に PD-1 による抑制が働かない場合には、何らかの免疫異常が引き起こされる可能性が高いと考えられた。それに対し、生後 21 月齢の老化 WT マウスと若齢 WT マウスを parabiosis によって連結した場合には、たとえ老化マウスのネオ抗原を若齢マウスに由来する T 細胞が認識した場合でも、その応答は PD-1 によって抑制されてしまうと考えられた。実験結果は、予想通りのものであった。
(3) Parabiosis 実験に用いる PD-1 KO マウスの CD45 分子のアロタイプを、交配により、通常の CD45.2 から CD45.1 に変換し、炎症巣に浸潤するリンパ球が、どちらのマウスに由来するものかを判定できるシステムを樹立した。老化マウスの炎症巣に浸潤するリンパ球は、大部分が PD-1 KO マウスに由来するものであった。
これらの研究成果は当初から狙っていたものであるため、研究はおおむね順調に進展していると結論づけることができる。

Strategy for Future Research Activity

(1) 生後 21 月齢の老化 C57BL/6 マウスに、機能阻害型 PD-1 抗体(clone 4H2)を投与した際、主に肝臓でリンパ球浸潤のフォーカスが多数観察された。今後は、浸潤するリンパ球を免疫組織化学的に解析し、どのようなリンパ球がどのような割合で浸潤しているかを解析する。また、リンパ球以外にも、マクロ ファージなどの浸潤が観察されるかどうかを解析する。
(2) 生後 21 月齢の老化 C57BL/6 マウスと、生後 2~3 月の若齢 PD-1 KO マウスを parabiosis(並体結合)によって連結したところ、老化マウスの主に肝臓 と腎臓で、リンパ球浸潤のフォーカスが多数観察された。今後は、浸潤するリンパ球を免疫組織化学的に解析し、どのようなリンパ球がどのような割合で浸潤しているかを解析する。また、リンパ球以外にも、マクロファージなどの浸潤が観察されるかどうかを解析する。
(3) 当初予定していた臓器移植実験を行う。
(4) 当初予定していたゲノム解析を行い、老化マウスの体細胞に蓄積したゲノム変異の量(頻度)を大まかに解析する。
(5) 若齢マウスに doxorubicin を大量投与することにより細胞老化 cellular senescence を引き起こし、通常の個体老化と比べて、免疫学的な差異を検出できるかどうか解析する(4H2 抗体の投与実験、PD-1 KO マウスを用いた parabiosis 実験)。

Causes of Carryover

現在、報告書作成者の研究室では、生後20ヶ月以上の老化マウスを業者から購入せず、自分たちで調達しているが、統計学的な解析を可能にするためには多数の老化マウスが必要となり、単純に非常に長い時間を必要とする。そのために、研究期間が2年間を超過してしまった。また、老化マウスを用意するだけではなく、実験に供した上で詳しく解析する必要もあり、その解析に必要となる試薬等を購入するための費用も、研究期間の最後まで残しておく必要があった。

  • Research Products

    (2 results)

All 2023

All Journal Article (1 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] 自己と非自己の認識:PD-1 による T 細胞応答の制御2023

    • Author(s)
      石田靖雅
    • Journal Title

      アレルギー(日本アレルギー学会)

      Volume: 72 Pages: 1093-1098

  • [Presentation] 自己と非自己の認識2023

    • Author(s)
      石田靖雅
    • Organizer
      日本アレルギー学会・第9回総合アレルギー講習会
    • Invited

URL: 

Published: 2024-12-25  

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