2023 Fiscal Year Annual Research Report
癌微小環境の形質的・空間的多様性を介したがん細胞クローン拡大機構の解明
Project/Area Number |
22K19527
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹原 徹郎 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70335355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小玉 尚宏 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (10623275)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 膵癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌微小環境の多様性を明らかにすることを目的に、ヒト膵癌組織とマウス膵癌組織を用いてシングルセルトランスクリプトーム解析並びにVisiumを用いた空間的トランスクリプトーム解析や免疫染色を実施した。マウスとヒト膵癌組織の検討から、Arg1、Nos2、S100A8、S100A9、TGFーβを産生する腫瘍促進的な多核球系骨髄由来免疫抑制細胞が増加している集団が一定割合で存在しており、これらの細胞が存在している膵癌患者では生命予後が不良となることを見出した。また、癌微小環境内へのこの免疫抑制細胞の遊走や活性化には、腫瘍や腫瘍関連マクロファージなどが産生するIL-1βが重要な働きをしており、IL-1βが腫瘍細胞からのCXCL1、CXCL2などのケモカイン並びにCSF2産生を促すことでこの免疫抑制細胞を腫瘍内へと浸潤させていることが明らかになった。さらに、この免疫抑制細胞は、CD8T細胞からのIFNγやグランザイム産生を抑制させることで、抗腫瘍免疫を減弱させていることが明らかになった。すなわち、癌微小環境内における、癌細胞とマクロファージ、多核球系骨髄由来免疫抑制細胞とCD8T細胞の相互作用が、膵癌の進展において重要であることを明らかになった。これらのことを論文化した。さらに、この仕組みは胆膵癌に共通する部分が存在し、胆道癌においても、炎症を介して骨髄球系細胞が腫瘍内に浸潤し、癌細胞の進展を促していることを見出しており、研究を継続している。
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