2022 Fiscal Year Research-status Report
造血幹細胞のサイトカイン応答を規定するクロマチン動態変化の制御
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22K19549
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
梅本 晃正 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 特任准教授 (50620225)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 造血幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
Thrombopoietin (TPO) は JAK-STAT 経路の活性化を介して、血液細胞の源である造血幹細胞の自己複製を誘導するサイトカインとして極めて有名である一方、巨核球・血小板への分化誘導因子としても知られている。これまでに、幹細胞分画中のEPCR 強陽性細胞を TPO 存在下で培養した時は幹細胞表現系を比較的維持するが、弱陽性細胞は分化マーカーである CD48が陽性の細胞(前駆細胞)へ分化することを見出している。また、EPCR 強陽性幹細胞は弱陽性細胞と異なり、TPO を含む条件下で EPCR 強陽性細胞と弱陽性細胞の両亜集団を産生する。当該年度はEPCR 強陽性幹細胞を低グルタミン条件下で培養すると EPCR 弱陽性幹細胞の産生が抑制され、EPCR 強陽性の表現型が維持されることを確認した。また、低グルタミンによる EPCR 強陽性維持効果は、グルタミンの代謝物であり、ヒストン脱メチル化酵素の補酵素でもある α-ケトグルタル酸 (αKG) 添加により減弱することも確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EPCR強陽性から弱陽性に移行する機構にグルタミン代謝が関係していることを見出した。この機構は造血幹細胞におけるTPOの相反する作用を説明するための大きな手掛かりとなる可能性を秘めている。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度は、EPCR強陽性から弱陽性に移行する機構、即ちTPOの相反する作用を生み出す要因として、グルタミン代謝が関係していることを見出した。従って、今後はグルタミン代謝に着目し、グルタミン代謝経路のいずれ代謝反応が EPCR強陽性の維持、ないし分化に関わっているかを検討する。さらに、その当該反応が幹細胞のクロマチン動態に及ぼす影響を検討する。
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Causes of Carryover |
民間助成金の獲得により、当該年度の使用額が減少したが、次年度は本研究を加速化するためにも、次世代シークエンス解析を複数回行い、その費用に充てることを計画している。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] ACLY-dependent coupling of metabolic state and chromatin accessibility regulates hematopoietic stem cell functions during bone marrow regeneration2022
Author(s)
Terumasa Umemoto, Alban Johansson, Shah Adil Ishtiyaq Ahmad, Michihiro Hashimoto, Sho Kubota, Kenta Kikuchi, Haruki Odaka, Takumi Era, Daisuke Kurotaki, Goro Sashida, Toshio Suda
Organizer
第19回幹細胞シンポジウム
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