2023 Fiscal Year Annual Research Report
マウス肺移植・慢性期移植肺機能不全モデルの開発と免疫応答機構の解明
Project/Area Number |
22K19558
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 里奈 京都大学, 医学研究科, 助教 (80847517)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊達 洋至 京都大学, 医学研究科, 教授 (60252962)
山田 義人 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (80375691)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
|
Keywords | 肺移植 / 急性細胞性拒絶 / 慢性拒絶 / 線維化 / 二次リンパ組織 / 三次リンパ組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、①臨床状況を反映するマウス肺移植・慢性期移植肺機能不全(chronic lung allograft dysfunction: CLAD)モデルを開発すること、②そのモデルを用いた慢性拒絶に至らしめる免疫応答の解明と新たな治療ターゲットの提案を目指すこと、である。BALB/cマウスの左肺をB6マウスに同所性に移植し、術後に低用量の免疫抑制(ステロイド・シクロスポリン)を行うことで、移植後15日で急性細胞性拒絶反応が、30日でリンパ球の集簇とともに血管気管支周囲や胸膜に線維化が生じ、各種免疫染色を検討することで、肺移植臨床で経験する線維化主体のCLAD(RAS: restrictive allograft dysfunction)をよく反映するモデルであることを確認した。本モデルにおいて、移植肺には三次リンパ組織の形成と考えられるリンパ球集簇がみられたが、免疫染色の結果からは、リンパ球集簇は三次リンパ組織の形態をとっていないと考えられた。そこで、本モデルにおける二次リンパ組織のCLAD進展への関与を検討するため、レシピエントに二次リンパ組織欠損マウスを用いたところ、急性細胞性拒絶は起こるが線維化には進展しないことが判明した。二次リンパ組織での免疫応答が、細胞性拒絶から線維化への進行に重要な役割を果たすと考えられた(京都大学とWashington University in St. Louisと共同で本実験は行った)。さらに、本モデルの移植後15日と30日の肺胞洗浄液を用いてサイトカイン・ケモカインの包括的解析をパネルシートを用いて行い、15日時点からのsICAM-1の上昇が特徴的であることが明らかになった。sICAM-1は、線維化が主体となる他疾患においてもその上昇が指摘されており、CLAD進展の予測マーカーや治療ターゲットとして今後検討を行う予定である。
|
Research Products
(3 results)