2022 Fiscal Year Research-status Report
Why does whole pancreas become risk zone for cancer development? Assessment of microbiota and the challenge for early diagnosis of pancreatic cancer.
Project/Area Number |
22K19567
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大塚 隆生 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (20372766)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷本 昭英 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (10217151)
杉浦 剛 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (40322292)
蔵原 弘 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (70464469)
下之薗 将貴 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 医員 (40814322)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
|
Keywords | 膵癌 / 発癌 / 早期診断 / マイクロバイオ―タ / 細菌叢 / IPMN |
Outline of Annual Research Achievements |
IPMN切除標本のパラフィン包埋切片を用いてDNAを抽出し、PCRで増幅したDNAライブラリーを作成した。このライブラリーのDNA量測定と品質チェックも行ったうえで30名の患者のIPMN切除検体を選択し、腫瘍内細菌叢(マイクロバイオ―タ)を網羅的に解析した。コントロールとして正常膵管かつ膵神経内分泌腫瘍の非腫瘍部位を用いた。結果として全ての検体から細菌叢を検出することができた。膵内細菌叢の菌種の内訳としてFirmicutes、Proteobacteria、Actinobacteriaが多く、これは正常膵組織とIPMNで差は認められなかったが、FusobacteriaはIPMNのみで検出された。さらに詳しく解析したところ、Fusobacteriaは70歳以上の高齢者、主膵管型IPMN、浸潤性IPMN、腸型亜型で高頻度に認められることが明らかとなった。 本研究でIPMN腫瘍内に細菌叢が存在することが判明し、さらに悪性度や形質によって細菌叢分布に有意差があるため、細菌叢がIPMNの形質変化や悪性度に影響を及ぼしている可能性が強く示唆された。特にFusobacteriaは他癌種でも関連が多数報告されている菌種であり、IPMNの発癌にも関与している可能性を容易に想像することができた。詳しい発癌の機序解明は今後の課題である。 Fusobacteriaが存在する主膵管型、腸型のIPMNには一般的に併存通常型膵癌が発生しにくいと言われており、言い換えれば併存膵癌は分枝型、非腸型IPMNに発生しやすいことになる。分枝型IPMNは膵内に多発し、いわゆる膵全体が発癌母地となりえるため、腫瘍内細菌叢を解析することで膵癌発生高リスク群を同定することができる可能性を示唆する結果が得られたといえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IPMN腫瘍内の腸内細菌叢の存在を明らかにし、論文化まで行えたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
併存膵癌を有するIPMNの特徴としてGNAS野生型、MUC2発現陰性などが挙げられているが、さらに網羅的遺伝子解析を行い、特徴的な遺伝子変異を同定し、この遺伝子変異を惹起する腫瘍内細菌叢の同定も試みる。また腫瘍内細菌叢が経乳頭的逆行性に十二指腸から膵管内に入ってきたものであるかを、同一患者の十二指腸液と腫瘍内の細菌叢を比較し検討する予定である。
|
Causes of Carryover |
共同研究先である九州大学への支払い予定であった費用が、九州大学での請求書発注の手続きが遅れ年度内の支払いができなかったため、そのまま繰り越して次年度使用とする予定である。
|