2023 Fiscal Year Annual Research Report
患者由来がんモデルに基づくミトコンドリア代謝変容による治療抵抗性機構の解明と応用
Project/Area Number |
22K19572
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
池田 和博 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (30343461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 聡 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (40251251)
佐伯 俊昭 埼玉医科大学, 医学部, 特任教授 (50201512)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | がん / 代謝 / 患者由来がんモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
がんの再発・転移・治療抵抗性などの増悪化に関わるメカニズムとして、抗がん剤や放射線への抵抗性を有するがん幹細胞様細胞(CSC, cancer stem-like cell)が注目されている。がん細胞は大量のエネルギー・核酸等の産生や周囲の微小環境に適応するため、正常細胞とは異なる特徴的な代謝変化(再プログラミング)を有することが明らかになっている。本研究では、がん幹細胞様細胞の選択的な培養を可能とする手法を用いて、ミトコンドリア代謝変容の理解と、それに基づく新しい治療法の開発を目指す。がん幹細胞様細胞(CSC)は、自己複製能と多分化能を併せ持つ細胞であり、抗がん剤や放射線への抵抗性が高いことから治療の際に残存し、治療抵抗性の獲得や転移・再発の原因となることが想定されている。従って、がん幹細胞様細胞の治療抵抗性を解明することにより、治療効果を飛躍的に高める治療法の開発が可能になると考えられる。しかしながら、がん幹細胞様細胞は数が少ない上、培養が困難であり、特に生化学的な解析が進んでいない。がん細胞では、正常細胞とは異なる特徴的な代謝変化(再プログラミング)を起こしており、最近ではミトコンドリア機能の重要性が提唱されているが、不明な点が多い。本研究において、革新的技術であるがん三次元スフェロイド培養法の活用によりがん患者由来の長期生存可能な培養系(PDC, Patient-derived cancer cell)の構築を目指して培養条件の検討を重ねた。また、PDCならびに通常の培養細胞株に関して、ミトコンドリア呼吸鎖超複合体の解析、ミトコンドリア関連代謝遺伝子などの発現変化の解析を進め、代謝変容の理解と新しい治療法の開発を目指した。
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