2022 Fiscal Year Research-status Report
電気生理学的技術と計算論的手法を駆使した小脳-運動野-脊髄の機能連関の解明
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22K19592
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
中山 義久 公益財団法人東京都医学総合研究所, 脳・神経科学研究分野, 主席研究員 (30585906)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 小脳 / 一次運動野 / 筋電図 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、大脳‐小脳‐筋肉の機能連関を明らかにするために、小脳の電気刺激に対する運動野の神経細胞の応答を調べる手法と、小脳と運動野の各脳領域の神経活動および筋活動を記録する手法といった2つの電気生理学的技術と、神経計算論的手法を組み合わせることで、情報の流れの向きを高い時間分解能で解析し、各脳脊髄領域が、いつ、どこの脳領域に情報を送っているのかを明らかにすることを目的とする。上肢の運動準備、実行、目標到達までの各運動局面を持つ随意到達運動をマカクサルに行わせ、大脳‐小脳‐筋肉の多階層 Closed-loop の複数領域の神経細胞活動を多チャンネルで同時記録する手法と、小脳の電気刺激により小脳-大脳連関を細胞レベルで生理学的に同定する手法を組み合わせる。これに加え、神経計算論的手法とSpike-triggered averaging 法といった解析技術を組み合わせ Closed-loop の各脳領域の神経活動の情報の流れの向きを高い時間分解能で解析することで、各脳脊髄領域が、いつ、どこの脳領域に情報を送っているのかを明らかにする。 本年度は、マカクサルに行動課題の訓練を行い、その後、小脳歯状核に刺激電極、上肢運動に関連する複数の筋肉に記録電極を埋め込む手術を行った。その後、まず歯状核に埋め込まれた電極より電気刺激を行い、同時に大脳皮質運動野の神経細胞活動を記録することで、小脳から投射を受ける運動野の神経細胞を同定した。次にその細胞が筋活動の生成に直接関与するかを検討するために、細胞活動の記録と同時に上肢到達運動に関わる上肢の筋肉群の活動を記録し、Spike-triggered averaging 法により、その細胞が筋肉を支配しているか否かを検討した。現在までに二頭のサルより、小脳の電気刺激に応答し、かつ筋肉を支配していることを示す複数の細胞が記録されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、二頭のサルよりデータの取得を行い、現在も継続中である。仮説を支持するデータが得られ始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も電気生理学実験を継続し、データの取得を行う。得られた細胞活動データと筋電図データについて解析を行っていく。また、並行して記録している小脳と一次運動野の局所フィールド電位についてグレンジャー因果解析を行い、小脳-一次運動野の情報のダイナミクスの解明を目指す。
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Causes of Carryover |
本年度に得られた新たな知見について、次年度に学会で発表することを計画している。また、専門誌への投稿も予定しているため、投稿に関わる費用が必要となる。さらに実験を外部研究機関と共同で行う予定であり、実験実施のための出張費用を支出する必要が生じた。以上の使用計画のため、予算の調整を行った。
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Research Products
(4 results)