2022 Fiscal Year Research-status Report
脊髄悪性腫瘍に対する光刺激インプラントデバイスを用いた新規治療法の開発
Project/Area Number |
22K19593
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
遠藤 俊毅 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (00535370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新妻 邦泰 東北大学, 医工学研究科, 教授 (10643330)
田中 徹 東北大学, 医工学研究科, 教授 (40417382)
大沢 伸一郎 東北大学, 大学病院, 助教 (00813693)
中川 敦寛 東北大学, 大学病院, 教授 (10447162)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 脊髄腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、光線力学療法を用いて予後不良の脊髄悪性腫瘍(神経膠腫)に対する革新的な新規治療法を開発することである。第一に皮下に植え込みその奥にある脊髄へ光刺激を伝達するための新規インプラントデバイスを開発すること、第二にインプラントデバイスをもちいた非侵襲光刺激療法が脊髄腫瘍を制御する非臨床(動物実験)概念実証(Proof of concept: POC)を確立することを目的とする。 光線力学療法では、悪性腫瘍細胞のみを壊死させ、正常組織を損傷しない。光線力学療法は脊髄悪性腫瘍に対する現行治療の欠点を補う治療法になり得ると期待し、本研究を構想した。応募者のこれまで行った臨床研究では、脊髄腫瘍への光感受性物質の取り込みが確認され(Operative Neurosurgery 2013)、悪性脊髄腫瘍ほど光感受性物質取り込みの程度が強かった(J Neurooncol 2019)。これらの知見は、脊髄悪性神経膠腫治療における、光線力学療法の大いなる可能性を示している。さらに、分担研究者、田中らは粉体の形状で合成されるため応用が限定的であったUCNPをエポキシ樹脂等の中に分散させ、半導体プロセス技術によって50micro meter程度の薄膜にしたあとプローブ形状に加工する作製技術を確立し、近赤外光照射で青や緑のUC光発生に成功した(Solid State Devices and Materials, pp.41-42, 2019.)。さらに分担研究者、大沢らはてんかん動物モデルに対する光治療を行い、てんかん抑制効果の非臨床POCを獲得している。これらの開発研究経緯を背景に、インプラントデバイスによる脊髄への新規光線力学療法治療開発という画期的な研究を構想した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
悪性腫瘍細胞を培養し、これを脊髄髄内に注入することにより、ラット脊髄悪性神経膠腫モデルを確立することができた。また、光感受性物質タラポルフィンナトリウム(5mg/kg)を投与しレーザー光(Meiji Seika ファルマ株式会社製、波長664nm、10J/cm2)による光線力学療法を施行するための実験設備を購入し、動物モデル研究ができる体制を整えた。 以上のセットアップにより、研究遂行に必要な腫瘍制御に必要となる、光強度・暴露時間の算出と安全性試験を行うことが可能となり、これを実行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り Auプラズモン増強による高効率アップコンバージョンナノ粒子(UCNP)インプラントデバイスの開発をおこなっていく。これは、半導体プロセス技術を駆使して生体適合性フレキシブル材料(SU-8)内にUCNPを均一分散させ、高効率・高輝度発光するPlasmon Enhanced UCNP(PE-UCNP)セルを作製 するものである。これを、脊髄腫瘍近傍皮下に導入可能な形状とし、UCインプラントデバイスを作製する。
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Causes of Carryover |
コロナ感染蔓延のため計上していた旅費を使用することがなかったため。また、共同研究ミーティングの開催も現地ではなくWebで行うようになったため。
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