2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel cochlear regenerative medicine using mRNA and siRNA-encapsulated nanocarriers
Project/Area Number |
22K19597
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山岨 達也 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (60251302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鴨頭 輝 東京大学, 保健・健康推進本部, 助教 (30807152)
浦田 真次 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60849404)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 有毛細胞 / 再生 / ナノキャリア / 神経栄養因子 / シナプス |
Outline of Annual Research Achievements |
mRNAを細胞内に送達するとタンパク質が発現分泌され、細胞機能を体内で直接制御することが期待される。ただ、mRNAを安定な形で細胞内に送り込むことは困難であったのでそれを内包するナノキャリアを開発した。さらにsiRNAを内包して標的細胞で効果を得るナノキャリアも開発する。蝸牛有毛細胞は再生しないため、重度難聴の治療には有毛細胞の再生医療が必要である。本研究では支持細胞分裂から形質転換を介した有毛細胞の再生誘導、神経線維の変性予防と再生誘導を目的にターゲットとなる遺伝子のmRNAやsiRNAを内包したナノキャリアを蝸牛に投与し、広範な有毛細胞障害後の機能および組織再生に挑戦する。 まずは有毛細胞をほぼすべて安定的に死滅させる手技を開発した。従来はモルモットの蝸牛有毛細胞をエクタクリン酸(50mg/kg内頚静脈に静注)とカナマイシン(400mg/kg筋注)により傷害する手法を用いてたが、この手法では内頸静脈を確保するために麻酔による切開手術が必要であり、動物が侵襲のため致死に陥ることなどのリスクを回避するため、心腔内注入の手法を開発した。障害4日後に聴覚機能を聴性脳幹反応(ABR)により調べ、すべての動物で重度難聴を呈することを確認した。現在、蝸牛上皮を採取し、有毛細胞マーカー(myosin VIIa)およびDAPIにより組織学的に障害を解析中である。 p27siRNAとAtoh1mRNA、BDNFmRNAについては東京医科歯科大学と打ち合わせを行い、その作成工程について検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
難聴モデル動物の作成に難渋したため。モルモットに対する薬剤性内耳障害モデルでの実験を予定しており、モデル動物の作成は分担研究者が担当している。内耳毒性を有するエタクリン酸の心腔経由の投与は個体差が大きく、本研究には不向きであることが分かった。この問題は投与経路を大腿動脈に変更することで解決することができた。この手法によって薬剤投与後の生理機能評価としては長期にわたり聴覚脳幹反応(ABR)を計測し、無反応であることから、ほぼ全ての個体において重度な難聴を呈していると考えられた。組織学的には蝸牛有毛細胞の脱落を確認できたことから、難聴モデル動物を確立することができた。また、難聴動物作成後のmRNAナノミセルの蝸牛内投与手術の実験手技の確立に時間を要した。耳後切開し、通常の中耳腔解放では蝸牛の一部しか観察できず、全体(特に頂回転方向)の視野が悪いため、ナノミセルを投与安定投与が困難であった。そこで外耳道を迂回するように前下方まで解放する手技を確立した。これにより蝸牛全体を明視野におくことができ、ナノミセルの安定した蝸牛内投与が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
モルモットにカナマイシン(400mg/kg)を筋注し2時間後にエクタクリン酸(50mg/kg)を鼠径部から大腿動脈へ投与し、蝸牛有毛細胞の大半を死滅させる。4日後にABR測定後、p27siRNA、Atoh1mRNA、BDNFmRNAを単独、および同時に投与し、14日後にABRで聴力を測定、その後断頭し、蝸牛の組織解析を行う。蝸牛上皮を採取し、有毛細胞(Myosin VIIA)および神経線維(Neurofilament 200)を染色して組織学的に解析する。有毛細胞や神経線維の再生傾向が認められた場合は、さらにシナプスについて (AMPA型グルタミン酸受容体)GluR2 と(リボンシナプス)CtBP2で染色する。また、昨年Atoh1mRNA、Pou4f3mRNA、Gfi1mRNAの同時投与での有毛細胞再生も報告されているため、これらのナノミセルも作成し比較検討する。再生傾向が明らかになった場合は、蝸牛上皮の微細形態を走査型電子顕微鏡(SEM)および透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、エタクシリン酸とカナマイシン障害のみの群(コントロール)と比較する。また、この治療による組織再生の安定性について、さらに長期的な聴覚経過を測定して確認するとともに、長期経過後の組織変化についても検証する。
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Causes of Carryover |
難聴モデル動物の作成の確率に苦労し、難聴動物作成後のmRNAナノミセルの蝸牛内投与手術の実験手技の確立にも時間を要したため、研究計画に遅れが生じたため。 この費用は動物の購入、ナノキャリア作成費用、各種抗体、電子顕微鏡外注費用、論文投稿費用等に使用する計画である。
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