2022 Fiscal Year Research-status Report
機能性脂質の含有量に着目したリポ蛋白質の生理機能解析と生活習慣病への影響評価
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22K19643
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山梨 義英 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20582018)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | LDL / 機能性脂質 / 動脈硬化症 / 非アルコール性脂肪肝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は脂質異常症に伴い、そのリポ蛋白質分布パターンが、高密度リポ蛋白質(HDL)から低密度リポ蛋白質(LDL)に大きくシフトする機能性脂質に着目し、LDLに分布した当該脂質の生理活性・標的分子・生活習慣病(動脈硬化症や非アルコール性脂肪肝)の病態進行に与える影響を明らかにすべく企画された。 研究開始初年度となる2022年度は、当該脂質を含むLDLの生理活性および標的分子について検討を進めた。ヒト血管内皮細胞由来の培養細胞(HUVEC)を用いたin vitro解析の結果、HDL分布時と比べて、LDLに分布した当該脂質は炎症応答に対する作用が大きく異なることを見出した。また、各種阻害剤を用いた検討により、この変化を説明可能な作用標的分子の候補を見出すことに成功した。これらの結果を踏まえ、上記標的候補分子の病態生理学的な意義について検討すべく、CRISPR-Cas9システムを用いて遺伝子改変マウスの作出を進め、目的遺伝子の機能欠損が期待されるフレームシフト変異が導入されたマウスを複数系統得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
機能性脂質の含有量に応じたリポ蛋白質の生理活性解析が進み、LDL分布時の生理活性を説明しうる標的分子候補を見出すことに成功したため。また、今後の研究の要となる上記候補遺伝子の機能欠損が想定される遺伝子変異マウスも得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年度目にあたる2023年度は、今年度作出した候補遺伝子の機能欠損マウスを用いて動脈硬化症および非アルコール性脂肪肝のモデルマウスを作出し、機能性脂質のリポ蛋白質分布パターンおよび各病態の進行を野生型マウスと比較することで、LDL分布型機能性脂質の病態生理学的意義を明らかにする。 また、臨床医との共同研究を通じて、ヒト血液検体の取得を進め、当該脂質のリポ蛋白質分布パターンの個人差と病態進行度との関連性の解析を進める。
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Causes of Carryover |
(理由)次年度(令和5年度)使用額が生じているが、動脈硬化症モデルマウスや非アルコール性脂肪肝(NAFLD)モデルマウスを用いた検討を令和4年度には行わず、令和5年度へと予定変更したことによる。動脈硬化症モデルマウスおよびNAFLDモデルマウスの構築は順調に進んでいるので、今後は構築したモデルマウスを用いたin vivo解析を進めることで、機能性脂質のリポ蛋白質分布パターン変動が各病態発症・進行に及ぼす影響を明らかにする計画である。 (使用計画)令和4年度と同様、各種試薬や実験用動物購入費用などの消耗品費として主に使用することになるが、一部は得られた研究成果を学会において発表するための旅費、国際誌への論文投稿のための校閲費・印刷費・研究成果投稿料としてのその他の費用として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)