2022 Fiscal Year Research-status Report
住血吸虫感染幼虫を殺滅する巻貝用飼料の開発と流行地散布による予防効果の検証
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22K19645
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
熊谷 貴 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (40369054)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 住血吸虫 / セルカリア / スピルリナ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、マンソン住血吸虫の増殖抑制や感染幼虫であるセルカリアへの殺滅効果を持つ飼料を用いた効果についての確認を重点的に行った。本研究において開発された飼料の内藍藻類であるスピルリナが効果を持つことを確認した。このスピルリナをマンソン住血吸虫に感染させた巻貝に週2回の頻度で飼料として投与し、感染後6週目に感染幼虫を游出させたところ、コントロールとして用いたベース飼料に比べてセルカリアの数を有意に減少させた。この効果は濃度依存的であり、感染後4週、6週目に強い効果があることを確認した。これにより、スピルリナ飼料は、感染貝内での住血吸虫のセルカリアへの発育を抑制ないし、減少させる効果があると考えられた。また、ヒトへの感染幼虫であるセルカリア溶液中に直接スピルリナを添加したところ通常の飼料の2倍の殺滅効果を確認した。特に、スピルリナにセルカリアは誘導される形で集合し死滅している様子が確認された。これを受けてスピルリナの構成成分にリノール酸が多く含まれていることに着目し、同様の実験を行ったところ、リノール酸を高濃度に含んだ飼料では、同様の効果が確認できた。このことから、スピルリナに含まれるリノール酸がセルカリアの殺滅効果を高めていると考えられた。しかしながら、リノール酸を含んだ飼料の投与では感染貝内の幼虫のセルカリアへの発育を抑制できなかった。この様に、スピルリナの作用は複合的であると考えられた。更なる実験を必要とすると考えられた。これまでの成果でのスピルリナによる住血吸虫に対する効果については、特許出願を行い国内の学術集会での発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、住血吸虫に効果のある飼料内成分としてスピルリナに絞り、その効果を確認した。この効果について特許申請を行い、安全性を確認しつつ論文の投稿の準備が概ね完成したので。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、このスピルリナとしての効果について、他の生物への影響や環境への安全性について確認を取っていく。安全性の確認が取れた時点で論文発表を行っていく。また、スピルリナ内のどの成分に効果があるかについても更に検証を重ねていく予定である。また、フィールドでの野外試験のためにラオスの流行地において環境への安全性やその適用について予備検討を行う予定である。
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Research Products
(3 results)