2023 Fiscal Year Research-status Report
異分野融合型研究による白癬に着目した糖尿病足潰瘍アドバンストスキンケア方法の開発
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22K19647
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
竹原 君江 藤田医科大学, 保健衛生学部, 教授 (70709865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須釜 淳子 藤田医科大学, 社会実装看護創成研究センター, 教授 (00203307)
光田 益士 藤田医科大学, 社会実装看護創成研究センター, 講師 (00521246)
亀高 諭 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (10303950)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 創傷治癒 / 白癬菌 / ケラチナーゼ / 治癒遅延 / 創傷ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
創傷治癒遅延の原因として感染は重要因子である。白癬菌感染により術後創傷が難治性になった症例報告があることから、白癬菌感染が創傷治癒遅延のリスクファクターであれば、新しい創傷ケアの開発につながると考えた。白癬菌の特性の一つにケラチナーゼを産生し、角層主成分のケラチンを分解して栄養源とすることが挙げられる。その特徴から白癬菌ケラチナーゼが創傷治癒関連タンパク質を分解し、創傷治癒遅延に繋がるという仮説を立てた。本研究の目的は、白癬菌が創傷治癒に及ぼす影響を基礎実験で検証することである。 実験1ではケラチン培地に発育させた白癬菌からケラチナーゼを薄膜に転写し、この薄膜とFITC標識創傷治癒関連タンパク質を反応させ、蛍光顕微鏡でFITCの減弱を確認した。実験2では、BCA試薬を用いてケラチナーゼと創傷治癒関連タンパク質を反応させ、分解されたタンパク質の割合を算出した。実験3では、創傷内に侵入した白癬菌が創部の中で発育できるかを培養法で確認した(実験3-1)。実験3-2では創傷内で産生されるプロテアーゼの創傷治癒関連タンパク質分解能を確認した。次に発育した白癬菌がケラチナーゼを産生するか確認した。実験3-3では模擬の滲出液の中で発育した白癬菌がケラチナーゼを分泌するか確認した。 実験1では、使用した創傷治癒関連タンパク質全てでFITCの蛍光が減弱した。実験2では、創傷関連タンパク質の一部が分解された。実験3では、白癬菌はアルブミン、γ-グロブリン、フィブリノーゲン培地で発育し(実験3-1)、これらの培地で培養した白癬菌が産生したプロテアーゼは創傷治癒関連タンパク質群を分解し、ケラチナーゼも産生されていた(実験3-2)。そして、白癬菌は模擬滲出液中で発育し、ケラチナーゼも存在した(実験3-3)。したがって、白癬菌は創部の中でも持続的に創傷治癒関連タンパク質を分解する可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitroにて白癬菌ケラチナーゼが創傷治癒に影響する可能性が確認できたため。今後はin vivoでさらに検討を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は糖尿病マウスを用いて、糖尿病性足潰瘍の治癒過程への白癬菌の影響とそのメカニズム解明を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
マウス実験を、糖尿病を発症しないマウスから始めたため、価格が安く済んだ。また、糖尿病マウスについても予定より購入数が少なく済んだ。それに伴い餌やケージ等の備品にかかる金額も減少した。 今年度は糖尿病マウスを用いて創傷治癒過程に白癬菌が影響するメカニズムを解明する予定であり、マウスの購入や試薬に使用する予定である。
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