2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K19677
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
内田 薫 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 講師 (30724132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下川 哲昭 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 教授 (90235680)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | ネグレクト / オキシトシン / 母乳 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、問題解決の必要性が高いにも関わらず、原因分子やメカニズムの解明が一向に進んでいないネグレクトについて、腸脳相関に関するエビデンスに着目し、腸内フローラの破綻がネグレクトの原因ではないかとの仮定のもと、ネグレクトマウスにおける腸内フローラを解析し、ネグレクト回避のための腸内環境を構築することを目的とする。 令和4年度は、最近新たに見出された低オキシトシン母乳によるネグレクトマウスの特性について解析した。下垂体後葉ホルモンであるオキシトシン(Oxt)は、哺乳動物において、分娩時の子宮収縮や乳汁の分泌(射乳)を促進するペプチドホルモンである。ホルモン(内分泌物質)でありながら、母乳中にも存在する(外分泌)分泌様式を持つ。生化学的手法を用いて、Oxt 抗体を結合させたビーズを充填したカラムにマウスから搾乳した母乳を通すことにより、Oxt量を低下させた母乳(低Oxt母乳、71%のOxt除去)を作製することができた。この低Oxt母乳で哺育された雌マウスは、成獣となり、交配・分娩後、次世代への育児行動を強く放棄することを見出した。この低Oxt母乳にOxtを添加したもので哺育すると、母獣となった際に、ネグレクトが回避されることを確認できた(未発表)。一方、Oxtを完全に含まない母乳(無Oxt母乳)を得るために、オキシトシン欠損マウス(Oxt -/-)を導入した。現在、多様な実験に使うために繁殖させ、各遺伝子型における実験群を確立させている。さらに、Oxtを完全に含まないマウスの人工乳を作製した。現在、人工乳と正常なマウス母乳との成分比較をアミノ酸分析装置やガスクロマトグラフ質量分析装置等を使って解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
腸内環境の再構築による育児放棄予防の解析を進める上で必要なネグレクトマウスとして、当初はプロラクチン(PRL)シグナルの受容に障害を持つマウスを使用することを考えていた。一方、研究分担者の下川らは、母乳中のオキシトシン(Oxt)が将来の育児行動を発現させるために必要であることを「低Oxt母乳」の投与により見出した。低Oxt母乳で哺育された雌マウスは、交配・分娩後、次世代への育児行動を強く放棄する。新生仔マウスが吸入するOxtを含む母乳の方が、PRL受容と比較して腸内フローラに直接関与する可能性が高いと考え、「低Oxt母乳」で哺育されたマウスをネグレクトマウスとして使用することにした。しかし、微量なホルモンの作用を除くためには、「低Oxt母乳」ではなくOxtを一切含有していない母乳が必要である。そこでOxt欠損マウスを導入した。さらに、Oxtを完全に含まないマウス人工乳の作製を試みた。これらの作業により当初予定していた研究の進展が「やや遅れている」となった。
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Strategy for Future Research Activity |
ネグレクトマウスの作出検討が落ち着いてきたため、今後は当初の予定通り、腸内フローラの解析を進める。ネグレクトマウスおよび正常育児マウスの周産期における様々な時期の糞便を採取し、腸内フローラを網羅的に解析する。また、採取した糞便から腸内フローラの安定に必要な分泌型IgA(sIgA)をELISA法で測定する。それらと並行しながら、プロ-およびプレ-バイオティクス投与による腸内フローラの再構築に関する実験として、腸内環境を整えるとされる生菌や食物成分から投与物を選定するために、非妊娠時マウスを用いてストレス負荷に対する行動変化を評価し、効果を比較する。投与物決定後、ネグレクトマウスに投与を行う。一方、便移植の技術訓練も進めていく。
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Causes of Carryover |
ネグレクトマウスの見直し・検討を行った関係で、当初予定していた糞便の採取・解析まで到達しなかったことや、新型コロナ感染症の影響により、研究協力者との対面での打ち合わせができておらず、旅費が生じなかったことで、次年度使用額が生じた。 次年度は、本来予定していた実験に加え、やや遅れをとった実験操作の遂行、研究打ち合わせの実施により、次年度請求分と合わせて使用されるため、大幅な計画の変更は必要ないと考える。
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Research Products
(1 results)