2022 Fiscal Year Research-status Report
自閉症における運動学習の障害と軽運動による相乗的改善効果に関わる神経機構の解明
Project/Area Number |
22K19704
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳原 大 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90252725)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿澤 昌 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (40291059)
葛西 秀俊 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (40403232) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
|
Keywords | 自閉症スペクトラム障害 / mTOR / FMR1 / 歩行 / 適応 / 小脳 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症スペクトラム障害においては、認知・感覚機能の障害ならびに社会的コミュニケーションの障害などが主な症状として認められており、その一方で、運動機能の障害として、スポーツや書字が苦手であるといった運動スキルやその学習・記憶機能における障害については臨床的な所見として報告されてはいるものの、それらの原因となるメカニズムの本質については未だほとんど明らかにされていない。近年、運動の制御及び適応・学習に重要な役割を果たしている小脳が自閉症スペクトラム障害へ関与していることがfMRIによる脳機能イメージングや自閉症患者の死後脳における免疫組織化学的解析及び遺伝子発現パターンの解析から明らかにされている。 本研究では、自閉症スペクトラム障害のモデルマウスを対象として、運動スキル及びそのスキルの学習機能の障害の本態について、独自に開発した左右分離型ベルトトレッドミル(split-belt treadmill)上での歩行における運動学習機能の解析と、電気生理学及び免疫組織化学による小脳神経回路網の詳細な解析を行うことで、本質的なメカニズムの解明を行う。また、モデルマウスに対して軽度な運動を課すことで、運動の学習機能のみならず、社会性行動の障害に対する相乗的な改善効果について詳細に調べることを主たる目的としている。 2022年度においては、小脳プルキンエ細胞特異的mTOR(mammalian/mechanistic target of rapamycin)活性化マウスを対象にして、左右分離型ベルトトレッドミル(split-belt treadmill)上での歩行における運動学習機能の解析を行い、歩行における適応学習の障害が観測されている。また、FMR1(fragile X mental retardation 1)変異マウスについても、同様な試験を行い、現在解析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
左右分離型ベルトトレッドミルなど実験機器の不調や故障が数回発生し、そのため予定されていた実験とデータ解析にやや遅れが生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
左右分離型ベルトトレッドミルなどの実験機器およびデータ解析システムにおける改良を施し、予定通り研究を進める。
|
Causes of Carryover |
左右分離型ベルトトレッドミルの数回の故障に伴って、歩行における運動学習機能の解析が遅れたことに起因して、小脳神経回路についての電気生理学的及び免疫組織化学的解析が十分に進めることができなく、そのため物品費等の経費の執行が遅れたことによる。 トレッドミルの改良が進んだので、翌年度分と合わせて適宜実験を進めることに伴い、速やかに経費の執行を行う。
|
Research Products
(1 results)