2023 Fiscal Year Annual Research Report
The mechanism of systemic nutrient metabolism through the maintenance of small intestinal structure and intestinal environment by the interaction of small intestinal constituent cells
Project/Area Number |
22K19705
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
中川 嘉 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 教授 (80361351)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 生活習慣病 |
Outline of Annual Research Achievements |
CREBHは肝臓と小腸にのみ特異的に発現する脂質代謝と糖代謝を制御する転写因子である。申請者らはこれまでに、CREBH欠損(KO)マウスで小腸の内部構造に異常が生じ、絨毛が短く粗になることを小腸の病理学的解析から確認している。そこで本研究はCREBHが小腸の構造維持と腸内細菌叢を制御し、小腸の栄養代謝の維持することを明らかにすることを目的に行った。 野生型(WT)マウスとKOマウスの腸管細胞を用いて腸管オルガノイド培養を行い、腸管幹細胞の分化・自己複製の機能評価を行った。腸管オルガノイド培養で用いられる通常培地での培養においてはWTとKOより作製した腸管オルガノイドで成長速度や形態、細胞の生存率など腸管幹細胞の機能に大きな違いは認められなかった。しかし、通常培地に脂肪酸を添加し、高脂肪の状況を擬した培地で培養したところWTマウスの腸管オルガノイドは通常培地と同様の形態を示したが、KOマウスの腸管オルガノイドは生存率が著しく低下し、生存した腸管オルガノイドは分化せず、スフェアを維持したまま成長した。このことより、KOマウスの腸管細胞は細胞外からの脂質供給に対する適応が正常に機能せず、腸管内部構造の形成や維持に異常をきたすことが示唆された。現在、高脂肪食を負荷したWTマウスとKOマウスの小腸を用いてRNA-seqを実施し、解析を進めることでKOマウスにおける腸管幹細胞の機能障害を引き起こす原因となる遺伝子変化の同定を試みている。また、高脂肪食を負荷したKOマウスでは、腸管バリア機構の破壊に対する関与が報告されている細菌や肝炎の悪化に関与することが報告されている細菌が顕著に増加することを明らかにしており、CREBH欠損に起因する小腸の変化と腸内細菌叢の変化を繋ぐ要因の探索も進めている。
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