2023 Fiscal Year Annual Research Report
グルココルチコイド作用を分ける新規転写制御機構の解明および副作用軽減法の開発
Project/Area Number |
22K19714
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
吉澤 達也 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (40313530)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | グルココルチコイド / 骨格筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、脱アシル化酵素サーチュインの一つであるSIRT7の欠損(KO)細胞では、グルココルチコイド(GC)による筋萎縮関連遺伝子の発現が著しく損なわれるが、抗炎症作用は保たれることを見出した。さらに、SIRT7がGC受容体(GR)の新規アシル化修飾を取り除くことを発見した(いずれも未発表)。そこで本研究では、SIRT7を足がかりに、GC作用を分ける新規GR転写制御機構の解明を目的とし、以下の研究を実施した。 1)WTマウスとSirt7 KOマウス由来のサテライト細胞を筋細胞分化させた後にGCを添加し、筋細胞の萎縮を計測した。その結果、WTではGCにより筋細胞の幅が減少したが、Sirt7 KOではほとんど減少しなかった。 2)WTマウスとSirt7 KOマウスにGCを14日間毎日投与し、骨格筋の萎縮、骨量の低下等について解析した。その結果、Sirt7 KOマウスでは骨格筋の萎縮および皮質骨面積の低下が有意に抑制されていた。また、筋萎縮関連遺伝子の発現を解析した結果、Sirt7 KOマウスではGCによるAtrogin-1の発現増強が著しく抑制されていた。 3)GRの転写活性をWTとSirt7 KO細胞で検討したところ、Sirt7 KO細胞ではGRの転写活性が低下していることが明らかとなった。GRのスクシニル化リジン残基特定のため、GRを4つの部分に分割してSIRT7との結合部位をプルダウン法と免疫沈降法により解析したが、複数の部分に結合が見られてしまい、結合部分を特定できなかった。また、分割したGRではスクシニル化も認められなかった。そこで、質量分製法にてGRのスクシニル化リジン残基の特定を試みたが、検出できなかった。 4)蛍光ラベルした試薬を内包させた骨指向性CyDをマウスに投与し、in vivoイメージングシステムにより試薬が骨に届けられていることを確認した。
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