2023 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of signaling mechanism to other organs by small intestinal Na-dependent glucose absorption mechanism
Project/Area Number |
22K19717
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
林 久由 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (40238118)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | Na依存性グルコース吸収機構 / クローディン15 |
Outline of Annual Research Achievements |
生活習慣病の原因は、長年の偏った食生活と、ヒト遺伝子のミスマッチに依ることが大きいと推測されている。特に、糖、NaCl摂取量が多いことが生活習慣病の原因であると考えられている。小腸でのグルコース吸収機構と、小腸内でのNa代謝について、種の異なる動物で検討した。最初に変態により食性が変わるオタマジャクシを用いた。変態では、消化管の短縮と食性の変化が起こる。この際の腸管管腔内のNa濃度とグルコース吸収機序を調べた。変態前後で管腔内のNa濃度は高く維持されていた。また、糖輸送機能を担うSGLT1と上皮細胞間隙に陽イオン選択性を賦与するタイト結合タンパク質であるクローディンの腸管長軸上の発現分布は一致しており、両生類においても細胞間隙を介するNa分泌が重要であることが示唆された。次にクローディンを欠損させたマウスで研究を行った。クローディン15欠損マウスの主な表現型は小腸の肥大化と小腸管腔内のNa濃度の低下であり、このNa濃度低下により、他臓器へのシグナルが変化し、内臓脂肪が低下していることが示唆された。このため、妊娠マウスに、出産後5日目より、コントロール食(0.4% NaCl)または高Na食(2%NaCl)を与え、親マウスと一緒に仔マウスに摂食させた。高Na食を長期に摂食させてもクローディン15欠損マウスの腸の肥大化等は抑制されなく、また、管腔内のNa濃度を変化させることはできなく、管腔内Na濃度と小腸の肥大化の因果関係は低いことが示唆された。更にマウスとは水、Na代謝が異なるラットを用い、クローディン15欠損ラットを作成し、腸管Na代謝との関係を調べた。ラット腸管上細胞間隙のNa透過性の変化は観察されなかったが、クローディン15欠損ラットでは、腸管内のNa濃度低下と、内臓脂肪の低下が観察され、腸管以外に発現しているクローディン15による可能性が示唆された。
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