2022 Fiscal Year Research-status Report
食がもたらす喜びと行動を評価する解析システムの開発と脳内機序の解明
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22K19749
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
溝口 博之 名古屋大学, 医学部附属病院, 准教授 (70402568)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 食行動 / 喜び / 神経回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
「食べる・食事」は生きていくための営みであり、さらに食事を通して他者と時間を過ごすことで人間関係を構築するための手段(会話の助け)としても利用されてきた。しかし、飽食という現代社会を生きる私たちは、食がもたらす喜びや育みをさほど考慮しない状況を営んでいる。それゆえ、食行動の意味合いに焦点を当て、食がもたらす喜びはどのように生まれ、食の選択や食を求める行動(食行動)が導かれるのか、食行動の理解を進めることが重要である。本研究では、食報酬に対する快・喜びと食行動を評価する新規システムの確立と喜びや食行動に関わる脳内神経回路の解明を目指す。今年度は、超音波測定装置を導入し、報酬獲得時の超音波発声の測定、表情解析、バイオセンサーを用いた報酬獲得時の脳内神経活動を測定するための技術の確立と安定を目指した。まず初めに、超音波マイク装置(Avisoft Bioacoustics UltraSoundGate 116H)と赤外線カメラをADコンバータに接続、PCを介して同期させた。暗室環境下にて半透明の特殊ゲージ(餌を入れるためのカップを固定)を設置し、超音波マイクと赤外線カメラを配置することで、測定環境を整えた。ラットはさまざまな種類の超音波発声をすることが分かっており、約50kHzの超音波発声は正の情動変化と関係があると考えられている。ラットがチョコレートを食した際、約50kHzの超音波を計測することが出来た。雄性ラットと比べると、雌性ラットの方が超音波発声の数が多かった。チョコレート、normalな餌報酬で、超音波発声時における画像を抽出し、目の部分をトリミングし、画像解析を行った。しかし、ビデオカメラと食行動中の表情との位置関係に問題があり、測定環境の再調整が必要であることがわかった。また、食行動中のドーパミン活動を測定することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.発声による快情動測定:超音波発声測定装置を用いて報酬獲得時の音声を測定した。雌雄差も検討するため、♂♀両方を使用して解析した。♂、♀ともにチョコレート報酬を獲得すると超音波発声が確認できた。ただ、個体間のバラつきがあり、♀ラットの方が発声頻度が高かった。 2.表情解析:チョコレート報酬獲得時の表情解析を行った。前回データでは非常に分かりやすい特徴が目の周囲に現れたが、今回は抽出が難しかった。一つの理由として、個体間のバラつきや安定した表情解析にむけ、報酬であるチョコレートをいくつか試し、前回とは異なる条件で表情解析したことがその要因かもしれない。 3.ドーパミンセンサーによるドーパミン遊離:側坐核・線条体にドーパミンセンサーを発現させ、実験装置内でチョコレート報酬獲得時のドーパミン活動を測定したところ、超音波発声の測定と同期して、活動の変化を測定することができた。今後は活動の意味付けを行う。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、超音波発声装置を導入し、報酬獲得時の発声を抽出することができた。また、バイオセンサーを用いることで、脳内における神経活動を測定できることを確認できた。ただ、個体間のバラつきや安定した表情解析にむけ、報酬であるチョコレートを変更したこともあり、残念ながら表情解析の有意な違いを検出することができなかったので、解析条件を頭部固定にするなど、工夫が必要である。次年度はこれら解析の例数と工夫を重ね、同時測定へと繋げる予定でいる。
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Causes of Carryover |
一部再検討と継続が必要な実験課題が生じ、有効活用のため、次年度使用が生じた。未使用額は実験動物購入と機器購入に使用する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Inhibition of Rho-kinase ameliorates decreased spine density in the medial prefrontal cortex and methamphetamine-induced cognitive dysfunction in mice carrying schizophrenia-associated mutations of the Arhgap10 gene.2023
Author(s)
Tanaka R, Liao J, Hada K, Mori D, Nagai T, Matsuzaki T, Nabeshima T, Kaibuchi K, Ozaki N, Mizoguchi H, Yamada K.
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Journal Title
Pharmacological Research
Volume: 187
Pages: 106589
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Antipsychotic-like effects of fasudil, a Rho-kinase inhibitor, in a pharmacologic animal model of schizophrenia.2022
Author(s)
Takase S, Liao J, Liu Y, Tanaka R, Miyagawa Y, Sawahata M, Sobue A, Mizoguchi H, Nagai T, Kaibuchi K, Ozaki N, Yamada K.
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Journal Title
European Journal of Pharmacology
Volume: 15;931
Pages: 175207
DOI
Peer Reviewed
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