2023 Fiscal Year Research-status Report
データ汚染耐性を有する非中央集権型フォレンジック技術
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22K19768
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
面 和成 筑波大学, システム情報系, 教授 (50417507)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | ブロックチェーン / スマートコントラクト / 認証 / フォレンジック |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,機器やデータの認証とブロックチェーンを自動連携させることによって,データの汚染を防止する非中央集権的なブロックチェーンネットワーク上で動作する高信頼なフォレンジック技術を研究開発する.より具体的には,スマートコントラクトとの自動連携によって機器の相互監視及び報酬の支払いを可能とする認証手法,及び正当な証拠情報のみがブロックチェーンに自動で記録される高信頼なフォレンジック手法を構築する.2023年度は,データ汚染耐性を有する非中央集権型フォレンジック技術の確立に向けた研究として,(1)インセンティブメカニズムを考慮した認証手法,及び(2)非中央集権型フォレンジック手法についての研究成果がそれぞれ得られた. (1)については,コンソーシアムブロックチェーンを対象としたコンタクトトレースシステムの研究を推し進め,機器の相互監視及び正当な証拠情報のみがブロックチェーンに自動で記録される方式を提案し,その成果は査読付き国際会議等で発表された.また,医療情報共有システムへの適用を考慮し,スマートコントラクトを用いた自動認証手法の構築についても検討し,その成果も査読付き国際会議等で発表された. (2)については,医療分野及びサプライチェーン分野において,ブロックチェーンにおけるフォレンジック方式について検証し,それらの成果は査読付き国際会議等で発表された.特にサプライチェーンにおいては,スマートコントラクトで統計処理を行い,その評価結果をブロックチェーンに自動的に保存することで,内部の者による不正を防ぐフォレンジック方式を提案している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)インセンティブメカニズムを考慮した認証手法,及び(2)非中央集権型フォレンジック手法について,それぞれの進捗状況は下記である. (1)については,高信頼なフォレンジック技術に繋がるインセンティブを考慮したコンタクトトレースシステム,及び医療情報共有への適用が可能なスマートコントラクトを用いた自動認証手法の構築についての研究成果が出ており,その成果は査読付き国際会議ICBC2023(2023年9月),GCCE2023(2023年10月),及びコンピュータセキュリティ国内研究会CSEC(2024年3月)においてそれぞれ発表済みである. (2)については,ブロックチェーンにおけるフォレンジック技術の応用的研究として,医療及びサプライチェーンを取り上げ,認証技術と組み合わせたフォレンジック手法に関する研究成果が出ており,その成果は査読付き国際会議AsiaJCIS2023(2023年8月),及びコンピュータセキュリティ研究会(2023年12月)等においてそれぞれ発表済みである. 以上により,査読付き国際会議論文3本,国内シンポジウム3件の研究成果が出ており,現在までの進捗状況の区分においては,「おおむね順調に進展している」という自己評価を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は,「現在までの進捗状況」でも述べたとおり,(1)インセンティブメカニズムを考慮した認証手法,及び(2)非中央集権型フォレンジック手法について,それぞれにおいて研究が良好に進んでいる.(1)については,コンソーシアムブロックチェーンにおける認証システムにおいて,トークンを用いたインセンティブメカニズムに関する研究についての方式が構築されつつあり,これをブラッシュアップして査読付き国際会議に投稿していく予定である.(2)については,(1)の成果をスマートコントラクトベースの認証システムにおけるフォレンジック手法の研究と繋げていくと共に,医療分野に焦点をあてた応用手法も検討し,その研究成果を論文誌に投稿していく予定である.したがって,2024年度はこれら2つの研究課題に対して,研究成果の完成度を高め,論文誌等にまとめていく予定である.
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Causes of Carryover |
2023年度に採録予定であった国際ジャーナルについて,査読者からの修正に予想以上の時間がかかったことから採録日が2024年度となり,その分の掲載料を次年度に繰り越した.具体的には2024年5月に採録が決定した.
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