2022 Fiscal Year Research-status Report
緊張性振動反射(TVR)を用いたNo Motion VRディスプレイの開発
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22K19806
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
廣瀬 通孝 東京大学, 先端科学技術研究センター, 名誉教授 (40156716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雨宮 智浩 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (70396175)
青山 一真 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任講師 (60783686)
伊藤 研一郎 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特任助教 (30805578)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 移動感覚 / バーチャルリアリティ / 感覚提示 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は大きな体動なしに身体運動を実感することのできるディスプレイ技術の開発を目的としている.特に,TVRと呼ばれる腱に対する振動刺激を行い,関節周りの運動感覚を誘発する錯覚手法を主たる刺激技術として用いつつ,VR分野等で活用されている様々な刺激と併用することで,実際には全く運動していない,あるいは小さな運動であっても大きな運動をしているように錯覚させ,限られたスペースでも大きな運動をしているように感じさせることを目指している. 本研究では腱周辺に効果的に振動を伝達することのできる合成波を含めた振動刺激を設計するために,有限要素法を利用したコンピュータシミュレーションを実施し,その効果を心理物理実験によって実証する予定である. 初年度である本年度は,有限要素法を実施するための,人の神経を含めた組織のヤング率を文献並びにデータベースによって調査した.また,有限要素法による振動シミュレーションの動作を確認し,身体構造上でのシミュレーションの準備を完了させた. さらに,本年度は腱振動刺激だけでなく,移動感覚に強く関連する前庭感覚と自身の足元の拘束条件を変更させたり,実動作を引き起こすことのできるスライダーを準備し,そのスライダー上での前庭感覚を提示した際の,移動感覚を計測する実験を行った.その結果,足元の拘束条件と前庭感覚との相互作用によって,VR空間内での移動感覚を増強することができることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度で基礎的な実験並びにシミュレーションの準備が整っており,次年度に本格的な実験並びに成果の報告ができると考えられるため.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は,振動刺激に主眼を戻し,TVRの効果を最大化する振動パラメータを物理シミュレーションによって設計する.さらに,同様のシミュレーションによって,複数の振動刺激が身体の構造上で成す合成波の設計にも挑む.また,これらの刺激が腱や筋紡錘へ及ぼす効果を検証する基礎的な実験と,その効果を活用したVRインタフェース並びに体験デモを開発する.
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により,振動刺激の機材の調達および実験実施のスケジュールがやや遅れているため.2023年度は,複数の振動刺激が身体の構造上で成す合成波の設計にも挑み,これらの刺激が腱や筋紡錘へ及ぼす効果を検証する基礎的な実験と,その効果を活用したVRインタフェース並びに体験デモを開発する.
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