2022 Fiscal Year Research-status Report
量子空間における高次組合せ特徴を用いた関係予測アルゴリズムの研究
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22K19820
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小山 聡 北海道大学, 情報科学研究院, 准教授 (30346100)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 機械学習 / 量子計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
リンク予測や化学反応予測など、データ間の関係を推測する問題は、データのペアを入力として分類を行うペアワイズ分類問題として定式化できる。研究代表者らが以前に提案したクロネッカーカーネルを用いたサポートベクターマシンは、ペアワイズ分類問題において高い予測精度を実現する一方で、大量のデータに対しカーネル行列のクロネッカー積を陽に計算するための計算コストが大きく、大規模データへの適用が困難であるという課題があった。本研究課題では、量子計算においてカーネル行列のクロネッカー積が古典計算と比較して時間的・空間的に効率良く表現できることに着目し、量子サポートベクターマシンにクロネッカーカーネルを導入したペアワイズ量子サポートベクターマシンを提案した。具体的には、誤り耐性量子計算機を用いて線形方程式を高速に解くためのHarrow-Hassidim-Lloyd(HHL)アルゴリズムをカーネル行列のクロネッカー積に適用してペアワイズ分類器を効率的に訓練するアルゴリズムを設計し、その計算量を理論的に示した。また、小規模な問題において提案アルゴリズムを量子回路で実装し、シミュレータ上で実行して古典アルゴリズムと比較する実験を行った。その結果、適切なハイパーパラメータを設定することで提案アルゴリズムが古典アルゴリズムと同等の分類精度を実現することを確認した。これらの成果は、提案アルゴリズムが古典アルゴリズムと同等の精度を効率的かつスケーラブルに実現できることを示唆している。量子機械学習が古典機械学習に対して優位性を示すことができる実用的な問題の探索が行われているが、大規模データにおける関係予測は、そのような問題の候補であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
量子サポートベクターマシンにクロネッカーカーネルを導入したペアワイズ量子サポートベクターマシンを提案し、量子回路上での実装とシミュレータを用いた実験を行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
量子状態識別など、量子系に固有の問題に対して適用することで、量子機械学習が古典機械学習に対して優位性を示すことができる問題を探索する。
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Causes of Carryover |
当該年度前半に新型コロナウィルス感染症拡大の影響により、出張が困難である時期が続いたため、旅費を中心に未使用額が生じた。燃料費高騰や円安等の影響により当初の見込みより航空券や学会参加費などが値上がりしているため、次年度使用額は次年度交付額と合わせてそれらに使用する計画である。
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