2022 Fiscal Year Research-status Report
Mechanical folding of nano-rigid origami at a two-dimensional interface
Project/Area Number |
22K19824
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石川 大輔 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (00722919)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | DNAナノテクノロジー / 界面膜 / 機械受容チャネル / 折り紙 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、構造DNAナノテクノロジーの一種であるDNAオリガミ手法を用いて、力学的に変形可能な機械受容性を有するナノチャネルを作製した。このナノチャネルは、DNA二重らせんを束ねた剛直な板を、柔軟な1本鎖DNAで連結した剛体折り紙構造をもち、四角形ねじり折りの蓋と中空の四角柱構造体の2つのパーツで構成される。作製後の各パーツを透過電子顕微鏡で観察し、各々設計通りの構造体が形成されていることを確認した。中空の四角柱構造体の電子顕微鏡像から、1本鎖DNAで連結した四隅の内角を計測したところ、設計通りの90°付近に偏りつつも幅広い分布を示したことから、ナノチャネルが意図したとおりの機械受容性を有することが明らかとなった。さらに、このチャネルを気水界面に局在させるために四角柱構造体の一部に疎水基を修飾し、その成否をアガロースゲル電気泳動と油中水滴エマルション観察から確認した。また油中水滴エマルション観察から、疎水基修飾した四角柱構造体が油水界面に集積可能であることを確認し、さらに構造体の集積量が疎水基本数によって変化することを見出した。この結果から、今後実施予定である、ナノチャネルの気水界面集積における導入疎水基の本数を最適化することができた。現在、疎水基修飾したナノチャネルと、気水界面において効率よく力学的な力を印可するためのマトリクスである脂質分子を用いて、気水界面膜の作製条件を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、二重らせんDNAに固有の位相を利用し、折り紙の山折りと谷折りを造形することによって、DNAを素材とするナノスケールの剛体折り紙チャネルの作製に成功した。また、チャネルが疎水基修飾によって親水-疎水界面へ集積可能であることを油中水滴エマルションの観察から確認した。以上より、本研究遂行に必須である機械受容ナノチャネルを作製とそのプロセスの最適化に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは当初の計画に沿って、疎水基導入したナノチャネルと脂質分子で気水界面膜を作製し、膜の圧縮・拡張過程におけるナノチャネルの折りたたみ過程を追跡する。気水界面におけるナノチャネルの折りたたみ過程は、チャネル内におけるフェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)によるin situ蛍光測定、原子間力顕微鏡を用いた転写膜のex situ観察から確認する。さらに、マトリクスである脂質分子の成分を変えることによって、表面圧、印加エネルギー、膜の硬さなどの界面膜の力学的特性と、ナノチャネルの力学的変形の相関を解明することを試みる。
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Causes of Carryover |
本研究費を当初充当予定であったSPM-8100FMを安く購入できたため。 次年度は、フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)によるin situ蛍光測定を行うための分光器部品の購入費に充てる。
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