2022 Fiscal Year Research-status Report
生物学的金属イオン回収のための外部刺激応答性担体の創製
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22K19860
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上高原 理暢 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (80362854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅津 将喜 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (30891387)
簡 梅芳 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (20533186)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 担体 / 微生物 / 酸化チタン / 外部刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
微生物の付着・脱着の制御が可能な担体の創製に向けて、紫外線や超音波などによる外部刺激に応答する担体の創製に取り組んだ。純チタン金属を種々の条件で酸化処理することによりその表面に酸化チタン層を作製し、その表面上での微生物の挙動について調べ、陽極酸化を施すと酸化処理していない試料および大気酸化した試料よりも酵母が付着しやすいことを明らかにしている。今年度は、陽極酸化したチタン金属表面に酵母を付着させた後に紫外線を照射することで表面にラジカルを発生させて、酵母の付着に寄与する有機物を分解することで酵母の脱着を試みた。その結果、酵母の代謝活性が見られなくなったが、酵母はあまり脱着していない様子が観察された。有機分解能力が十分でなく脱着が起きなかった可能性を考え、陽極酸化したチタン金属表面の光触媒活性を高めることを考えた。陽極酸化したチタン金属を熱処理することで、紫外線を照射した際の有機物分解能を向上させることができた。しかし、その熱処理した陽極酸化チタン金属表面でも紫外線により酵母の脱着はあまり見られなかった。そこで、外部刺激として脱離に寄与する振動とラジカル生成を期待できる超音波照射を検討した。超音波照射すると、熱処理した陽極酸化チタン金属表面からの酵母の脱着が著しく促進されることが分かった。すなわち、超音波照射は酵母を脱着させるための有効な手段となることが分かった。今後、陽極酸化チタン金属表面での特異的な現象であるかどうかも検証していく予定である。一方で、酵母の付着と脱着には、酵母を付着させる際に用いる溶液の影響も大きいことが分かった。接着と脱着のメカニズム解明に重要な知見であると考えるため、溶液の影響についても今後検証していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
チタンの表面酸化により、微生物の付着を向上させられる可能性を明らかにできている。また、外部刺激により接着した微生物を脱着できることを明らかにできている。これらのことをさらに発展させることで、目的を達成できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
外部刺激により微生物を脱着できることを明らかにできたが、そのメカニズムについては不明な点が多いため、表面酸化したチタン金属表面での特異的な現象であるかどうかも含め検証していく予定である。その上で、微生物の付着・脱着を制御するための指針を明らかにしたいと考えている。一方で、酵母の付着と脱着には、酵母を付着させる際に用いる溶液の影響も大きいことが分かったため、付着と脱着のメカニズム解明のために溶液の影響についても検証していく予定である。これらのことを通して、微生物の付着・脱着の制御が可能な担体の創製を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究科内の他の研究者に設備を借りたり、既存の消耗品を利用することで、経費を削減しつつ研究を行うことができた。翌年度分の助成金と合わせ、より特性の優れた担体の創製に取り組むとともに、担体を利用することで実際に金属イオン回収が可能かどうかについて検討していくことに予算を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)