2023 Fiscal Year Research-status Report
Can we mitigate flood induced by heavy storms using forest above ground system?
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22K19871
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久米 朋宣 九州大学, 農学研究院, 教授 (30816393)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 樹冠遮断 / 豪雨 / 付着水分 / 樹冠通過雨 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、1日300mmを超えるような超大雨が数年間隔で起きる九州南部の山岳森林地帯において、森林地上部が持つ洪水緩和機能を、豪雨時に特化して明らかにし、洪水の緩和に資する森林地上部構造を提案することを目的とする。その目的のために、宮崎県椎葉村にある九州大学宮崎演習林内のスギ人工林およびブナが優先する天然林において、500 mm/dayの豪雨を想定した大型の遮断城発量計測システムを構築し、線状降水帯や台風に起因する豪雨時の遮断蒸発量を計測することで、豪雨時の遮断蒸発のメカニズムを明らかにする。本年度は、昨年度の台風14号による林道被害の復旧が遅れ、現地へのアクセス状況がよくなかったため、宮崎演習林での測定器設置は延期した。その一方で、福岡演習林内の大雨を対象に降水観測およびデータの解析を行った。降水イベント毎の雨滴衝撃エネルギーを推定し、樹木枝の空間構造が林内雨および雨滴衝撃エネルギーに影響を与えることを明らかにした。また、樹冠遮断過程において重要なパラメーターである、樹冠及び樹体の付着水分量に関する文献のサーベイを行い、付着水分量の測定方法を検討し、また付着水分量の影響を与える因子の抽出を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
宮崎演習林に台風が来襲し、斜面崩壊などにより林道が不通となった。その一方で、樹冠遮断過程において重要なパラメーターである、樹冠及び樹体の付着水分量に関する文献のサーベイを開始する、福岡演習林において林内雨の観測およびデータ解析を行う等、宮崎演習林における遅れを補完するための研究も開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、豪雨に対応した樹冠通過雨と樹幹流集水装置を検討しそれらの作成を行う。宮崎演習林内の森林を対象に、樹冠通過雨と樹幹流量計測装置をそれぞれ設置し豪雨を待つ。椎葉村のアメダス雨量データ(直近30年)によれば、毎年100mm/day以上の大雨が降っており、向こう3年間に300mm/day以上の雨が1回生じる確率は37%、500 mm/day相当の雨でも9%あり、研究実施期間内に豪雨が発生する可能性は十分ある。また、樹冠及び樹体の付着水分量に関する文献の収集を続ける。また、バックアップとして、福岡演習林内での計測を継続し、データ解析も行う。
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Causes of Carryover |
計測を予定していた宮崎演習林一帯が、大型の台風に見舞われ、林道などが崩壊した。その復旧作業が未だ続いているため、測定器の購入や人件費も使用はR6年度以降に繰り越すことにした。遅れてはいるものの、福岡演習林内の計測機器を用いた観測を行ったり、また文献サーベイを実施するなど、計画全体としてはバックアップも含めて着実に進行している。
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