2022 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of a natural rubber synthesis system using undifferentiated rubber tree cultured cells
Project/Area Number |
22K19883
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
栗原 恵美子 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (90639585)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | ケミカルバイオロジー / メタボローム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,未分化なゴムノキの培養細胞に対して,低分子化合物処理とゴム合成に必須な遺伝子の導入を行っていき,対応する細胞内代謝物質プロファイルを取得することで未分化培養細胞内にゴム粒子を誘導することを試みることを目的としている。 これまでに低分子化合物の候補としてはA2を選抜している.A2の作用機構を推定するためにA2処理時のトランスクリプトームおよびメタボローム解析を行ってきたが,より詳細なA2の作用について検討するために,今年度はA2処理時のプロテオーム解析を行い,現在データを解析している。 ゴム合成関連遺伝子<I>CPT,CPTL,REF,SRPP</I>にそれぞれ蛍光タンパク質遺伝子を融合させたものをパーティクルガン法で遺伝子導入し、それぞれのタンパク質の局在および挙動を解析した.小胞体との共局在を確認するためにHDEL配列に蛍光タンパク質を融合させたコンストラクトとCPT1をパーティクルガン法で同時に細胞に導入発現させたところ,局在が一致していた.よってゴム培養細胞においてCPT1は小胞体に局在している可能性が示唆された.並行して、ゴムゲノムデータベースのアップデートにより、CPTLの配列がこれまで扱っていた配列と異なることが明らかになった.そこで,新規配列に蛍光タンパク質遺伝子を融合させたコンストラクトを作成した.再度,局在と挙動を観察した結果,CPT1とCPTLだけを導入した細胞においては時間経過に伴いCPTとCPTLの局在が一致しなくなるのに対し,REFを追加して導入するとCPT1,CPTLの局在が小胞体にとどまることがが分かった.当初の計画ではこの遺伝子導入した細胞のシングルセルメタボロームを行う予定だったが,必要量のサンプルが取得できないため,今年度はゴム培養細胞の恒常的な形質転換の確立を試みる予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
おおむね順調にゴム合成関タンパク質の局在や挙動を解析してきたが,並行して行われていたパラゴムノキのゲノムデータベースにアップデートがあり,ゴム合成関連タンパク質遺伝子の配列が変更となるものがあった.それらについては再度遺伝子配列の確認からやり直しを行ったため,遅れが生じた.また,目的遺伝子を一過的に導入した細胞のみのメタボロームを行うための予備実験を行ったが,サンプル量の不足のため,測定不能であった.バルク細胞を対象としたメタボローム解析を行うために、ゴム培養細胞の形質転換技術の確立を行う必要が出てきたため,その時間を要する.
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Strategy for Future Research Activity |
目的であるゴム合成関連遺伝子が導入された細胞についてのみのシングルセルメタボローム解析を行う予定で蛍光が確認できた細胞のサンプリングを行っていたが,メタボローム解析の処理の段階でサンプル量がある程度必要であることが分かった.当初蛍光が確認できた細胞を200-300細胞回収する予定であったが,パーティクルガン法による遺伝子の導入効率が悪く,ゴムノキ培養細胞を用いた恒常的な形質転換技術の確立およびバルクの目的細胞を対象としたメタボローム解析に変更した方が効率的に目的を達成できると考えた.そのため,ゴム培養細胞の恒常的な形質転換を試みる.形質転換技術を確立した後,目的の遺伝子を導入した培養細胞においてメタボローム解析を行うことを計画している.
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Causes of Carryover |
遺伝子配列の変更により局在および挙動の再実験のために実験の遅れが生じたこと,パーティクルガン法を用いた遺伝子の導入効率が当初予想していたよりもはるかに低く,サンプルの回収方法を変更する必要が生じたため.また,所属の異動等による使用可能機器に合わせた実験計画の変更のため。
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[Presentation] Single cell analysis for elucidation of natural rubber biosynthesis mechanism using rubber suspension cells2023
Author(s)
Emiko Okubo-Kurihara, Emi Osada,Yuko Makita, Mika Kawashima, Hiroko Tsuchida, Ayato Sato, Naoya Kadofusa, Nanako Katou, Mayuko Sato, Mayumi Wakazaki, Kiminori Toyooka, Yuki Hamamura, MinamiMatsui
Organizer
第64回日本植物生理学会年会
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[Presentation] ゴム培養細胞を用いたゴム生合成システムの解析2022
Author(s)
栗原(大窪)恵美子, 長田恵美,蒔田由布子, 川島美香, 栗原志夫, 土田博子, 佐藤綾人, 角房直哉, 加藤菜々子, 浜村有希, 佐藤繭子, 若崎真由美, 豊岡公徳, 松井南1
Organizer
第3回ゴム研究会