2022 Fiscal Year Research-status Report
Study on the switching mechanism of structural and tensional memory of cells
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22K19890
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
長山 和亮 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (10359763)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 細胞バイオメカニクス / メカノバイオロジー / 細胞骨格 / 細胞形態 / 恒常性 |
Outline of Annual Research Achievements |
血管や骨,皮膚などの生体組織は力学環境の変化に応じて「リモデリング」する.このリモデリングを担う細胞骨格要素として,アクチンストレスファイバが注目されてきた.研究代表者は,ストレスファイバには,自身の構造が一旦バラバラになっても,ファイバの配向や発生する張力を効率良く再現させる「構造と力の記憶」が備わる可能性に気付いた.このような個々の細胞骨格分子の特性は,外乱に対する組織全体の恒常性を保つ基盤原理となっている可能性が高い.そこで本研究では,アクチンストレスファイバに生化学的・物理的外乱を加え分解させた後,その分子構造や張力が再現するか?あるいは崩壊するか?を詳しく調べる.そして,その再現と崩壊のスイッチングメカニズムを明らかにすることを目的としている.研究初年度は,独自開発した短パルスレーザアブレーションシステムを使って,単一の状態で培養した血管平滑筋細胞内の個々のストレスファイバを切断し,その収縮挙動ならびに修復・再構成する様子を高感度カメラで連続撮影した.また,マイクロコンタクトプリンティング法を使って細胞の接着領域を制御することで,細胞形態を正方形状や長方形状に操作しながら,細胞形態によるファイバの修復の違いを詳しく調べた.切断されたストレスファイバの収縮挙動は1次遅れ系で良好に近似でき,ファイバが粘弾性特性を有することが分かった.また,細胞の輪郭を形成するストレスファイバの修復率が有意に高いことや,細長い形態の細胞ほど,ファイバの修復率が高いことが明らかとなってきた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり,細胞内の個々のストレスファイバを切断して詳細に観察できるシステムを構築できている.さらに構築したシステムを使って,血管平滑筋細胞内の個々のストレスファイバを切断し,その収縮挙動や修復挙動を定量評価する手法を確立しており,興味深い結果も得られ始めている.以上より,順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に構築したシステムおよび確立した解析手法をブラッシュアップし,効率良く実験を展開していく.初年度は個々の細胞の特性に着目したが,今後はさらに細胞集団での特性に着目する.特に細胞集団中の特定の細胞内の構造を乱した場合に,集団全体の力学場にどのような影響を与えるか?集団の修復効率にどのような影響を与えるのかに注目していく.また,細胞集団に力学刺激を負荷するなどしながら,内部構造の修復特性に改善が見られるかどうかなどを調べていく.
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Causes of Carryover |
100円未満の端数が残額として生じたため,次年度の物品費に加えて使用する予定である.
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Research Products
(10 results)